ボーモント(読み)ぼーもんと(英語表記)Sir Francis Beaumont

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボーモント」の意味・わかりやすい解説

ボーモント(Sir Francis Beaumont)
ぼーもんと
Sir Francis Beaumont
(1584ころ―1616)

イギリス劇作家。オックスフォード大学卒業。初め法律を学んだがのち劇作家に転じた。しかし彼単独の作品には荒唐無稽(こうとうむけい)な騎士物語やそれを歓迎する観客を風刺的に描いた『燃えるすりこぎ騎士』(1607)など2編があるだけで、むしろ1608年から5年間にフレッチャーと共作した約10編の劇で代表されることが多い。これらは悲喜劇が主で、中心が庶民から宮廷人へとかわりつつあった当時の観客層の趣味をうまくとらえている。合作の代表作に『フィラスター』(1610ころ)、『乙女悲劇』(1611ころ)など。

[中野里皓史]

『笹山隆著『ドラマと観客』(1982・研究社出版)』


ボーモント(アメリカ合衆国)
ぼーもんと
Beaumont

アメリカ合衆国、テキサス州南東部の工業都市人口11万3866(2000)。メキシコ湾と結ぶサビーン・ネチェズ運河に面した港でもあり、運河の周辺には造船所石油タンクが並ぶ。広大な精油所と石油化学工場があり、石油と石油化学製品を輸出する。そのほか工業としては地元の森林や農業地帯の産物加工がある。1838年に町となった。

[菅野峰明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボーモント」の意味・わかりやすい解説

ボーモント
Beaumont, Francis

[生]1584頃.レスターシャー,グレースデュー
[没]1616.3.6. ロンドン
イギリスの劇作家。 J.フレッチャーとの合作で知られる。 1613年に結婚して劇壇から引退した。 79年の『ボーモント=フレッチャー全集』に収められた 52編のうち,ボーモントの単独作は気質喜劇『女嫌い』 The Woman Hater (1605) と風刺喜劇『熱いすりこぎ団の騎士』 The Knight of the Burning Pestle (07) だけ。合作も 10編に満たないが,そのうちの代表作『フィラスター』 Philaster (09頃) は,以後の多くの悲喜劇の範となり,王政復古期の演劇にも影響を及ぼした。その他の合作に,伝奇劇『王にして王にあらず』A King and No King (11) ,悲劇『乙女の悲劇』 The Maid's Tragedy (11) ,喜劇『お高くとまった貴婦人』 The Scornful Lady (13) など。

ボーモント
Beaumont, William

[生]1785.11.21. コネティカット,レバノン
[没]1853.4.25. ミズーリ,セントルイス
アメリカの軍医。ミシガン州北部,マッキナク要塞に駐留中,1822年6月6日左の上腹部に至近距離から銃弾を受けたカナダ人の猟師の治療にあたったが,創痕が胃瘻となって残り,そこから胃の中を見ることができる状態だったので,消化の過程を研究し,消化の化学,食物の分解の時間,感情が胃液分泌に与える影響などを記録し,その結果を"Experiments and Observations on the Gastric Juice and the Physiology of Digestion" (1833) にまとめた。彼はヒトの胃での消化機構を観察した最初の人だったので,この報告は生理学に重要な貢献をした。

ボーモント
Beaumont

アメリカ合衆国,テキサス州南東部の都市。ポートアーサーの北西約 26km,ネチェズ川の遡航終点に位置する。製材と船舶輸送が初期の産業であった。その後,綿花,サトウキビ,家畜の積出港として繁栄。 1901年同州最初の油田が近郊のスピンドルトップで発見され,ポートアーサー,オレンジ両市とともにテキサス石油化学コンビナートを形成。その他造船,船舶修理,ボーリング機械,パイプライン施設の工場がある。人口 11万8296(2010)。

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