マクラーレン(読み)まくらーれん(英語表記)Malcolm McLaren

共同通信ニュース用語解説 「マクラーレン」の解説

マクラーレン

英国拠点とする自動車の名門チームで、ドライバーブルース・マクラーレン(ニュージーランド)が創設した。F1には1966年に初参戦し、68年に初勝利。製造者部門を98年まで8度制している。通算勝利はフェラーリに次ぐ歴代2位の182勝。ホンダとは88年から5年間コンビを組んで44勝を挙げた。(共同)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マクラーレン」の意味・わかりやすい解説

マクラーレン
まくらーれん
Malcolm McLaren
(1946―2010)

セックス・ピストルズの元マネージャーとして知られるイギリスの音楽プロデューサー。ロンドンに生まれ、セント・マーチン美術学校などで学ぶ。アンディ・ウォーホルや、フランス五月革命の背景をなした思想運動、シチュアシオニズム(見世物の消費に満ちた社会をその内側から批判することを試みた新マルクス主義の一派)の影響を受けた彼は、資本主義社会をかき回すトリックスターとしてふるまうようになる。1972年、ファッション・デザイナーのビビアン・ウェストウッドVivienne Westwood(1941―2022)とともにロンドンにブティック「レット・イット・ロック」を開店、後に店の名前は「セックス」と変更され、過激なファッション・デザインで話題をよぶ。ニューヨークのロック・バンド、ニューヨーク・ドールズのマネージャーを務め、ニューヨークで起こり始めたパンク・ムーブメントに着目、1975年に「セックス」の常連だったメンバーを集めてセックス・ピストルズを結成させ、マネージャーとしてロンドン・パンクの仕掛人となる。

 セックス・ピストルズ解散後、アダム&ジ・アンツやバウ・ワウ・ワウのプロデュースを行う一方、自身のアルバム『ダック・ロック』Duck Rock(1983)をリリース。流行し始めていたヒップ・ホップを取り入れ、初めてスクラッチ(ターンテーブルを動かしてリズムを刻む手法)を用いたアルバムとして話題になる。その後もオペラとリズム・アンド・ブルースをミックスした『ファンズ』Funs(1984)や、ワルツとロックを融合させた『ワルツ・ダーリング』Waltz Darling(1989)をリリース。またミュージカルやドキュメンタリー映画の制作にも手を染める。1994年のアルバム『パリ』Parisでは、ノスタルジックなムードで彼のルーツであるフランス左岸派(1950~1960年代のパリ、セーヌ川左岸に多く住んでいた進歩的、前衛的文学者、映画人、音楽家の一派)の文化への憧憬(しょうけい)をつづっている。

[増田 聡]

『ジョン・サヴェージ著、水上はるこ訳『イングランズ・ドリーミング――セックス・ピストルズとパンク・ロック』(1995・シンコー・ミュージック)』『上野俊哉著『シチュアシオン――ポップの政治学』(1996・作品社)』

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