マジョリカ(英語表記)majolica; maiolica

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マジョリカ」の意味・わかりやすい解説

マジョリカ
majolica; maiolica

陶芸用語。マヨリカともいう。素地に錫白釉をかけ,上絵付けをした南ヨーロッパの軟質陶器。陶器の素地に錫白釉をかける技法は,イスラム陶器に始るが,その技法がスペインに入ってイスパノ・モレスクを生み出した。これがイタリアとスペインを結ぶ地中海上の小島マヨルカ島を通じてイタリアやフランスに輸出されたために,この種の施釉陶器をマジョリカ陶器と呼ぶようになった。また,イタリアでも各地で錫白釉がけの陶器が作られるようになり,それらも一般にマジョリカと俗称されるようになった。スペインでは 14世紀頃から,イタリアでは 14世紀末より発達して今日にいたっている。製作地は,スペインではマラガアルメリア,バレンシア地方,中部のタラベラなど,イタリアでは,中部のカステルデュランテ,ウルビノ,カファジョーロ,フィレンツェ,シエナ,グッビオ,オルビエト,デルータ,シチリア島のパレルモカルタジローネなどがあげられる。絵付けは多彩な顔料で花,鳥,動物,人物の絵付けをしたもの,歴史的事件や神話をモチーフとしたもの,風俗を描いたものなどはなやかで装飾的。なお,白い化粧土をかけてかき落し,文様を残した上に透明釉をかけたものをメッツア・マジョリカといって区別することもある。今日でも南欧各地で盛んに作られている。

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