マスグレーブ(読み)ますぐれーぶ(その他表記)Richard Abel Musgrave

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マスグレーブ」の意味・わかりやすい解説

マスグレーブ
ますぐれーぶ
Richard Abel Musgrave
(1910―2007)

アメリカの財政学者。ドイツに生まれる。1933年ハイデルベルク大学を卒業後アメリカに渡り、1937年ハーバード大学から学位を授与された。その後ミシガン大学ジョンズ・ホプキンズ大学プリンストン大学教授を歴任し、1966年から1981年まではハーバード大学の財政学の教授であった。彼の主著は1959年に出版された『財政理論』The Theory of Public Finance : A Study in Public Economyであるが、これは「公共経済研究」という副題からもわかるように、伝統的な財政学の問題領域を公共経済学のそれに近いまでに大幅に拡張したものである。また、夫人との共著『財政学』Public Finance in Theory and Practice(初版1973、3版1980)に示されるように、実証研究や具体的政策に対しても深い関心を寄せている幅広い総合的財政学者であった。

[林 正寿]

『木下和夫監修、大阪大学財政研究会訳『財政理論――公共経済の研究』全3冊(1961~1962・有斐閣)』『木下和夫監修、大阪大学財政研究会訳『財政学(原書第三版)――理論・制度・政治』全3冊(1983、1984・有斐閣)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マスグレーブ」の意味・わかりやすい解説

マスグレーブ
Musgrave, Richard Abel

[生]1910.12.14. ドイツ,ケーニヒシュタイン
[没]2007.1.15. アメリカ合衆国カリフォルニア,サンタクルーズ
ドイツ生まれのアメリカ合衆国の経済学者。1933年ハイデルベルク大学卒業。1937年ハーバード大学で博士号取得。1936年ハーバード大学助教授,1948年ミシガン大学教授,1958年ジョンズ・ホプキンズ大学教授,1962年プリンストン大学教授,1965年ハーバード大学教授。アメリカ経済学会副会長。主著『財政理論』The Theory of Public Finance(1959)において,公共部門役割を (1) 公的資源の最適配分,(2) 公正な所得分配のための所得の再分配,(3) 経済状態の安定化に求め,財政学厚生経済学に基づいて分析し,公共経済学の基礎をつくり上げた。

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