マツグミ(読み)まつぐみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マツグミ」の意味・わかりやすい解説

マツグミ
まつぐみ / 松茱萸
[学] Taxillus kaempferi (DC.) Danser

ヤドリギ科(APG分類:オオバヤドリギ科)の常緑小低木。アカマツモミツガなどに寄生する。枝は強靭(きょうじん)で、葉痕(ようこん)はこぶ状の点々となる。葉は厚みのある革質で密に互生し、倒披針(とうひしん)形で長さ約3センチメートル、全縁で先は丸みを帯びる。7~8月、葉腋(ようえき)に短い集散花序をつくり、少数の濃紅色花を開く。花被(かひ)は細い筒形で先端は4裂し、裂片は4枚とも一方に偏り、反転して黄褐色雄しべは4本。子房下位。液果は球形で径約5ミリメートル、赤色に熟し、中に白色種子が1個ある。関東地方南部以西の本州から九州に分布し、中国にもある。名は、アカマツによく寄生し、果実がグミに似ることによる。

[古澤潔夫 2021年2月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マツグミ」の意味・わかりやすい解説

マツグミ(松茱萸)
マツグミ
Taxillus kaempferi

ヤドリギ科の常緑低木。本州の関東以西に分布する。暖地針葉樹,特にアカマツ,モミなどに寄生する。茎はよく分枝し,褐色の気根宿主につく。葉は倒披針形で短柄があり,無毛で小さく,中肋がない。若い枝には濃褐色の毛がある。7~8月に,1~4個の濃赤色の小花を腋生し,基部には小さな包葉がある。萼は筒状で先は4裂し,黄褐色。おしべは4個,子房は下位で球形。液果は小さく,翌年の春に赤熟し,白色の種子を1個生じる。

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改訂新版 世界大百科事典 「マツグミ」の意味・わかりやすい解説

マツグミ

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世界大百科事典(旧版)内のマツグミの言及

【オオバヤドリギ】より

…本州(関東以西),中国,九州,南西諸島,朝鮮半島南部,中国大陸に分布し,常緑広葉樹に寄生する。マツグミT.kaempferi (DC.) Danserはより小型で硬肉質で,若葉の葉裏以外は無毛の葉を有し,赤紅色の花を夏季に咲かせ,冬季に果実が紅熟する。マツ属やモミ属の針葉樹に寄生し,本州(関東以西),四国,九州に分布する。…

※「マツグミ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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