改訂新版 世界大百科事典 「オオバヤドリギ」の意味・わかりやすい解説
オオバヤドリギ
Taxillus yadoriki (Sieb.) Danser
常緑で半寄生のヤドリギ科の木本性植物。枝や葉の裏には茶色の毛を密生する。葉はやや対生状につき,広卵形で全縁。花序は2~7個の花をつける。花は晩秋に咲き,下部がふくれた筒状で長さ約3cm,先は4片に分かれ,反り返り,外側は赤褐色の毛でおおわれるが,内側は無毛である。本州(関東以西),中国,九州,南西諸島,朝鮮半島南部,中国大陸に分布し,常緑広葉樹に寄生する。マツグミT.kaempferi(DC.)Danserはより小型で硬肉質で,若葉の葉裏以外は無毛の葉を有し,赤紅色の花を夏季に咲かせ,冬季に果実が紅熟する。マツ属やモミ属の針葉樹に寄生し,本州(関東以西),四国,九州に分布する。未熟の粘稠(ねんちゆう)な果肉を集めて,とりもちの代用とされることがあった。
マツグミ属Taxillusはアジアの熱帯域で分化した半寄生植物で,約60種が知られており,それらのうち最も北にまで分布しているのが,日本産のこれら2種である。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報