ミムルス(読み)みむるす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミムルス」の意味・わかりやすい解説

ミムルス
みむるす
[学] Mimulus

ゴマノハグサ科(APG分類:ハエドクソウ科)のミゾホオズキ属総称。日本では同属の園芸種の総称として用いられる。園芸種としてはニオイホオズキM. moschatus Dougl.が代表的で、よく栽培されている。北アメリカ西部の原産で、アメリカミゾホオズキともいう。半耐寒性の多年草であるが普通は一年草として扱われ、鉢または花壇に植えて観賞される。茎は腺毛(せんもう)に覆われ、地面をはい、分枝して広がり、のちに直立して高さ30センチメートルほどになり、強いじゃ香様の香気がある。葉は対生し、楕円(だえん)状卵形で長さ約3センチメートル、縁(へり)に鋸歯(きょし)がある。花は葉腋(ようえき)に1花ずつつき、花筒は長さ約2センチメートル、花冠は上下2唇に分かれ、上唇は2裂、下唇は3裂し、黄色に褐色の斑紋(はんもん)がある。花期は5~10月。ほかにニシキミゾホオズキもよく栽培される。

 秋に種子を鉢または箱に播き、1~2回移植してから定植する。冬季は温室やフレーム内で管理する。

[松岡清久 2021年10月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミムルス」の意味・わかりやすい解説

ミムルス
Mimulus; monkey flower

ゴマノハグサ科ミムルス (ミゾホオズキ) 属の総称。日本にはミゾホオズキオオバミゾホオズキの2種が自生する。葉は単葉で対生し,花冠は2唇形で,上唇が2裂,下唇が3裂する。ミムルス・ルテウス M.luteusとミムルス・グッタトゥス M.guttatusの交雑種であるミムルス・ヒブリドゥス M.×hybridusが一般に鉢植えで流通する。多くの品種があり,花色は緋赤色,橙色,黄色などのほか複色がある。花冠はベルベットのような質感で美しい。もともとは多年草であるが,園芸上は一年草として扱われている。湿気のある半日陰地と冷涼な気候に適し,寒冷地以外では梅雨以降の高温で枯死する。

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