ミゾホオズキ(その他表記)Mimulus nepalensis Benth.var.japonicus Miq.

改訂新版 世界大百科事典 「ミゾホオズキ」の意味・わかりやすい解説

ミゾホオズキ
Mimulus nepalensis Benth.var.japonicus Miq.

山地谷川ぞいや湿った場所に生育するゴマノハグサ科の軟質の多年草。茎は枝を分かち延び広がり,長さ10~30cmになり葉を対生する。葉は小さく,卵形から楕円形で長さ1~4cm,縁に少数鋸歯がある。初夏に各葉腋ようえき)に1花をつける。花は黄色で,花冠は基部が筒状,先端部は唇形に広がり5裂し,長さ15mmほど。おしべは4本。めしべ柱頭は2片に裂け広がっているが,それに触れると2片が急に閉じるように運動する。日本全土,朝鮮南部から台湾に分布する。基本変種はヒマラヤから中国大陸に分布している。本州中部以北の日本海側の亜高山湿地から北海道,南千島サハリンには茎が直立してほとんど分枝しないオオバミゾホオズキM.sessilifolius Maxim.が分布している。

 ミゾホオズキ属Mimulus(英名monkey flower)は約100種が知られているが,その大部分がアメリカ大陸に分布し,東アジアに少数種がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミゾホオズキ」の意味・わかりやすい解説

ミゾホオズキ
みぞほおずき / 溝酸漿
[学] Mimulus nepalensis Benth.

ゴマノハグサ科(APG分類:ハエドクソウ科)の多年草。全草、柔らかい。茎は多く枝分れして広がり、長さ10~30センチメートル。葉は対生し、卵形で長さ1~4センチメートル、幅0.5~2センチメートル、縁(へり)に少数の鋸歯(きょし)がある。夏、葉腋(ようえき)に黄色花を開く。花冠、萼(がく)ともに筒状で、萼の先に5個の突起がある。果実ホオズキに似ており、袋状に肥大した萼に包まれる。山地の水湿地に生え、北海道から九州、および朝鮮半島、中国、台湾、ヒマラヤに分布する。名は溝に生えるホオズキの意味である。ミゾホオズキ属は北アメリカを中心に約100種知られ、一部は観賞用に栽培される。オオバミゾホオズキM. sessilifolius Maxim.は日本海側の山地の水湿地に生え葉は柄がなく、花は大きい。

山崎 敬 2021年10月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミゾホオズキ」の意味・わかりやすい解説

ミゾホオズキ
Mimulus nepalensis var. japonicus

ゴマノハグサ科の多年草で日本全土,東アジア,ヒマラヤに分布する。谷川や溝のほとりに生える。茎は高さ 10~30cmでよく分枝し,4稜があって軟質である。葉は対生で上部のもののみ無柄,長さ2~4cmの卵形広楕円形で先はとがり,縁にあらい鋸歯がある。夏の間次々と茎の上部の葉腋に黄色の小花をつける。萼は筒状で5稜あり,稜には狭い鰭があって先は小突起となる。花冠は長さ1~2cmの唇形で先は5片に裂ける。 蒴果は長楕円形で萼に包まれ多数の種子を含む。

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百科事典マイペディア 「ミゾホオズキ」の意味・わかりやすい解説

ミゾホオズキ

ゴマノハグサ科の多年草。日本全土,東アジアの山地の水湿地にはえる。全草無毛で柔らかい。茎は下部で分枝し,高さ10〜30cm,卵形で長さ2〜4cmの葉を対生する。夏〜秋,葉腋に1花を開く。花冠は黄色,筒形で先が5裂し,長さ1〜1.5cm。果実は萼につつまれてホオズキに似る。

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