電子秤(読み)でんしばかり(英語表記)electronic scale

改訂新版 世界大百科事典 「電子秤」の意味・わかりやすい解説

電子秤 (でんしばかり)
electronic scale

はかりのつり合い機構,読取機構などに電子技術を導入したはかりの総称で,電気式はかり(電気ばかり)とも呼ばれる。つり合せ機構には,荷重によるはかりのさおの微小な変位を電気的に検出し,さおが水平になるよう電磁力を加減する零位式と,弾性体ブロックにひずみゲージをはりつけ,弾性体の変形に比例した電気信号を発生するロードセルに荷重を直接に加え,荷重に比例した電気信号を検出するロードセル式がある。読取機構には,つり合せ機構の検出信号をディジタル表示するほか,マイクロコンピューターを内蔵させ品物単価をセットして品物の質量に応じた料金の表示,入れ物(風袋)の質量を測定の結果から差し引く風袋消去,測定結果のプリントアウトなど,多種多様の機能をもつものがある。従来の分銅やおもりでつり合わせる機械式はかりに電子回路を組み込んだものを含め,理化学用の精密小型ばかり(エレクトロバランス,分析用電子てんびん,上皿電子てんびんなど)から商業用はかり(店頭用の電子皿ばかり,電子料金ばかり,電子計数ばかり,電子台ばかりなど),工業用大型ばかり(ロードセル式のコンベヤばかり,クレーンばかり,トラックばかりなど)に至る各種のはかりがあり,これらの精度は機械式はかりと同程度(秤量の1/105~1/103)である。図1はてんびんのつり合せに分銅と電磁力とを併用したエレクトロバランスelectrobalance(秤量数g,感量10μg)で,皿は電流計に似た可動線輪に固定したさおの力点重点とにつるされ,物体の質量は,分銅と可動線輪の電流とを加減してさおが水平になるようにし,このときの分銅の質量と電流の質量換算値との和から求める。さおのつり合せを自動的に行い,測定結果をディジタル表示する自動式のもの(自動てんびん)もある。図2は上皿直示てんびん内蔵分銅に代え電磁力を用いた上皿電子てんびん(電子てんびんともいう。秤量50g~10kg,感量1mg~1g程度)で,ロバーバル機構(平行四辺形のリンク機構。上皿ばかりの皿の主要な支持機構)で支えた皿上の物体はてこを介してコイルの電磁力で自動的につり合わされ,物体の質量はディジタル表示板のコイル電流の質量換算値で読み取る。電子ばかりの表示値の較正は分銅を用いて行う。つり合せにロードセルや電磁力を用いたはかりは重力の影響を受けるので,較正場所の重力値と異なる場所で使用するとき,厳密には重力値の差にかかわる補正が必要である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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