メクラヘビ (盲蛇)
blind snake
メクラヘビ科Typhlopidaeに属するミミズ形の小さなヘビ類の総称。約160種が知られている。アジアの熱帯,亜熱帯全域,東アフリカ,マダガスカル,オーストラリア,オセアニアの島々に広く分布し,人為分布でハワイ,メキシコにも及んでいる。全長14~18cm,体型はまったくのミミズ形で頭部から尾部まで太さが等しく,尾端がわずかにとがる。腹板はなく頭部以外は同大の滑らかな細鱗に覆われる。眼は小さく退化的でうろこの下に隠れる。地中の軟らかい土にトンネルを掘って生活し,シロアリや体の軟らかい昆虫類を食べる。卵生で長楕円形の卵を3~6個産む。日本では宝島以南の南西諸島,小笠原の父島に分布し,ブラーミニメクラヘビRamphotyphlops braminus(=Typhlina braminus)は,世界的には科の分布域と同じく広く分布する。南西諸島では耕地周辺に多数が生息する。メクラヘビの近縁種にはホソメクラヘビ科Leptotyphlopidae約79種と,アメリカミミズヘビ科Anomalepidae約15種があり,いずれも地中生活に適応した形態をしている。
執筆者:松井 孝爾
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メクラヘビ
めくらへび / 盲蛇
blind snake
爬虫(はちゅう)綱有鱗目(ゆうりんもく)メクラヘビ科に属するヘビの総称。この科Typhlopidaeの仲間は南アジア、東アフリカ、マダガスカル島、オーストラリア、太平洋の諸島に約180種が分布し、人為的にハワイ、メキシコにも及んでいる。全長14~18センチメートル、体形はまったくのミミズ型で尾が短く尾端がとがる。頭部以外は同大の滑らかな細鱗に覆われ、腹板は分化しない。上顎(じょうがく)にのみ歯があり、腰帯と後肢の痕跡(こんせき)が小骨として体内に残る。宝島以南の南西諸島、小笠原(おがさわら)諸島の父島に分布し、鹿児島県などでも発見されているブラーミニメクラヘビTyphlina braminaは、科の分布域と同じく世界に広く分布する。目は退化的で鱗(うろこ)の下に隠れ、耕地などの柔らかい地中にトンネルを掘ってすむ。餌(えさ)はシロアリや体の柔らかい昆虫類である。卵生で、長楕円(ちょうだえん)形の卵を3~6個ほど産む。メクラヘビの近縁種にはホソメクラヘビ科Leptotyphlopidaeの約50種と、アメリカミミズヘビ科Anomalepidaeの約20種とがある。
[松井孝爾]
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メクラヘビ
爬虫(はちゅう)類メクラヘビ科に属するミミズ型の小さなヘビ類の総称。分類上トカゲとヘビの中間的な存在で,約160種ほどが全世界の熱帯に分布。眼が小さく鱗の下に埋まっているのでこの名がある。代表種ブラーミニメクラヘビは旧大陸の熱帯地方に分布し,日本では沖縄,奄美大島などにすむ。一見ミミズに似て,全長14〜18cm,尾はその1/30以下。耕作地の堆肥中や地中で,シロアリなどを食べている。雌しかおらず,単為生殖で繁殖し,卵生。
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メクラヘビ
blind snake
トカゲ目メクラヘビ科 Typhlopidaeに属するヘビ類の総称。いずれもミミズに似た体形をもつ小型のヘビで,地中で生活をしている。上顎と口蓋部の骨は退化が著しく,歯は上顎 (メクラヘビ科) ,下顎 (ホソメクラヘビ科) のどちらかにしかない。眼は非常に小さい。体表の鱗はどれもほぼ同形である。熱・亜熱帯に広く分布し,日本では宝島以南の南西諸島にメクラヘビ Typhlops braminusが知られる。
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世界大百科事典(旧版)内のメクラヘビの言及
【ヘビ(蛇)】より
…現生種は14科約2400種で,極地を除く世界の各大陸に広く分布し,日本には亜種を含め陸生33種,海生9種・亜種が分布している。今までに見つかった最大のものは[アミメニシキヘビ]の全長9.9m,最小はロイターメクラヘビの約10cmであるが,大半は1~2mくらい。
[形態]
体型は極端に細長く,尾は全長の1/6~1/4ほどを占めるが,長いものは約1/3に達し,短いものでは1/10くらい。…
※「メクラヘビ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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