ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メチアル」の意味・わかりやすい解説
メチアル
Mečiar, Vladimír
スロバキアの政治家。首相(在任 1990~91,1992~94,1994~98)。1993年,連邦関係にあったチェコ共和国と分離し,スロバキア共和国として独立を果たした。青年時代はアマチュアのボクシング選手だった。ブラチスラバのコメニウス大学で学んだ。親共産主義のスロバキア青年同盟でさまざまな役職を得て活動。1968年の民主化運動,プラハの春ではアレクサンドル・ドプチェクを支援したとみられる。1969年,共産党の強硬主義者たちと対立したことで党から除名された。その後「暴力に反対する民衆」の有力党員として再び表舞台に姿を現し 1989年のビロード革命後のスロバキア暫定政府で内務大臣となった。1990年の選挙で「暴力に反対する民衆」はスロバキアで大勝し,メチアルはスロバキアの首相となったが,1991年には辞職を余儀なくされた。閣外に去ったものの国民の絶大な人気に力を得て,同 1991年に民主スロバキア運動 HZDSを結成。1992年の選挙で HZDSは 1位となり,メチアルは再びスロバキアの首相となった。1993年1月,チェコのバーツラフ・クラウス首相と連邦関係の解消で合意し,チェコスロバキアは解体した。独立後は失業率の上昇や外国からの投資の減少に見舞われ,1994年3月,議会で不信任案が可決され辞任した。しかしながら同 1994年秋の選挙で政権に復帰し,3度目となる首相を務めた。1998年の選挙ではミクラーシュ・ズリンダ率いるスロバキア民主同盟が議会の多数派となり,再び首相の座を明け渡した。
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