家庭医学館
「メッケル憩室」の解説
めっけるけいしつ【メッケル憩室】
小腸の下部(回腸)にみられる先天的な憩室です。妊娠中に、母親の栄養を胎児に送る管(臍腸管(さいちょうかん))が、出生後に回腸の壁に残ったものです。男性に多くみられます。
ふつうは症状はありませんが、急に合併症(腸閉塞(ちょうへいそく)、憩室炎、出血)をおこすことがあります。小児期に多く、成人以降はあまりみられません。
腸閉塞は憩室のところで回腸がつまってしまうもので、腹痛や嘔吐(おうと)で始まります。憩室炎は憩室の壁に炎症がおこるため、まるで虫垂炎(ちゅうすいえん)のような腹痛がみられます。
また、憩室の中に胃の組織がまじっていることがあり、胃酸が憩室中に潰瘍(かいよう)をつくって出血をおこすことがあります。潰瘍が深くなると憩室の壁に孔(あな)があき、腹膜炎をおこすこともあります。
こうした合併症がある場合は、手術して憩室やまわりの小腸を取り除きます。ただ、手術前にメッケル憩室と診断できることはまれです。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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メッケル憩室
メッケルけいしつ
Meckel's diverticulum
胎生期の卵黄腸管の一部が残存したもの。成人では回腸末端より約 1m口側の回腸にみられる。急性炎症を起して虫垂炎のような症状が出現したり,出血や腸閉塞の原因となることがある。 (→消化管憩室 )
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内のメッケル憩室の言及
【小腸】より
…症状はない。なお回腸の末端近くにメッケル憩室Meckel’s diverticulumと呼ぶ特殊な憩室がみられることがある。この憩室は他のものと違って筋層を有し,胎生初期に腸管と卵黄膜を連絡している卵黄管(出生後は閉じる)の腸管側が残ったものである。…
※「メッケル憩室」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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