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神楽歌 かぐらうた

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

神楽歌
かぐらうた

古代歌謡の一種。神前で奏する神楽 (御神楽) に伴って歌われる歌謡をさすが,狭くは宮中で奏される特定の神事歌謡をさす。宮中のものは起源は非常に古く,一部の原型は奈良時代以前にできたとみられるが,現在伝わるものは,平安時代中期頃に歌詞,譜ともに改修されたものである。大別すると,『採物 (とりもの) 』『前張 (さいばり) 』『星』以下の曲の3種に分けられる。『採物』は楽人の持つ榊,幣,杖などを詠み込んだ歌で,神おろしの意味を含む。反復部分を除くと短歌形式。『前張』は大前張小前張に分れ,前者は反復句などを整理すると短歌形式になるが,後者はもともと不整形で,地方民謡を編曲したものとみられる。『前張』にはさらに千歳法と早歌 (そうか) などが付属される。『星』以下の曲は朝になってからのもので,神あがりの歌である。

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百科事典マイペディアの解説

神楽歌【かぐらうた】

宮中で行われる御神楽(みかぐら)の儀のための音楽。神楽の中心となる採物(とりもの)歌とやや娯楽的な前張(さいばり)歌および神あがりの歌に大別され,笏(しゃく)拍子,和琴(わごん),神楽笛,篳篥(ひちりき)によって伴奏される。
→関連項目郢曲大歌琴歌譜田植歌

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世界大百科事典 第2版の解説

かぐらうた【神楽歌】

国文学で狭義には平安時代に整えられた宮廷神楽歌を言い,広義には神事歌謡をひろくさして称する。《古今和歌集》巻二十に〈神遊(かみあそび)の歌〉(採物(とりもの)の歌6,日女(ひるめ)の歌1,返し物の歌1,大嘗祭の時の歌5)を収める。神遊の歌は神楽歌の古称と見られる。《拾遺和歌集》巻二十にも〈神楽歌〉11首を収める。神楽歌の平安時代書写本には源信義本,鍋島家本,伝藤原道長本《神楽和琴秘譜》,八俣部重種本がある。

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大辞林 第三版の解説

かぐらうた【神楽歌】

古代の宮廷歌謡の一。神楽の折に歌われるもの。
神楽で歌う歌。神歌。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

神楽歌
かぐらうた

神楽のおりに歌われる神楽と民謡。宮廷御神楽(みかぐら)の神楽歌と民間神楽の神楽歌がある。現存する神楽では宮廷の神楽歌が最古で、その歌本の古写本は、藤原道長筆と伝えられる『神楽和琴秘譜(かぐらわごんひふ)』のほか、信義本、鍋島(なべしま)家本、重種本など平安朝のものである。普通に神楽歌といえば、宮廷御神楽の神楽次第の歌をいう。内侍所(ないしどころ)の御神楽歌は、採物(とりもの)歌と民謡とに大別することができる。採物歌は、榊(さかき)、幣(みてぐら)、杖(つえ)、篠(ささ)、弓、剣、鉾(ほこ)、杓(ひさご)、葛(かずら)の9種30首で、採物をたたえる歌やその採物にちなむ歌。なお韓神(からかみ)の歌2首を加える。中入りのあと歌われる民謡は御神楽成立当時の民謡を取り入れたもので、大前張(おおさいばり)(宮人(みやびと)・難波潟(なにわがた)・木綿志天(ゆうしで)・前張・階香取(しながとり)・井奈野(いなの)・脇母古(わぎもこ))、小前張(薦枕(こもまくら)・閑野(しずや)・磯良前(いそらがさき)・篠波(さざなみ)・殖舂(うえつき)・総角(あげまき)・大宮・湊田(みなとだ)・蛬(きりぎりす))、雑歌(ぞうか)(千歳(せんざい)・早歌(そうか)・吉利吉利(きりきり)・得銭子(とくぜにこ)・木綿作(ゆうつくる)・朝倉(あさくら)・昼目歌(ひるめうた)・竈殿遊歌(かまどのあそびのうた)・酒殿歌(さかどのうた)・弓立(ゆだて)・其駒(そのこま)・神上(かみあげ))などがある。これらは、本方(もとかた)と末方(すえかた)とに分かれた楽人によって笛・篳篥(ひちりき)・和琴(わごん)の伴奏で歌われる。
 一方、民間の神楽歌は地方に数多く伝わっている。出雲(いずも)、伊勢(いせ)、獅子(しし)の各神楽に歌われる神楽歌は、神降(かみおろ)し歌、讃(ほ)め歌、清めの歌、祈祷(きとう)歌、遊び歌、神上げの歌などに分けられる。短歌形式の二句神歌(かみうた)のほかに『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』にみえる今様風四句神歌の類歌を伝えるところもある。とくに伊勢神楽の天文(てんぶん)11年(1542)奥書のある神楽歌本には、二句・四句の神歌200首余りが収載されている。神楽歌の多くは作者不明であるが、記紀の歌謡や『古今集』『新古今集』『千載(せんざい)和歌集』『金葉(きんよう)和歌集』など古歌を引用した歌も少なくない。神楽歌の歌い方はさまざまで、囃子方(はやしかた)、舞人、周囲の者などにより掛合いで、あるいは同音で歌われる。とくに太鼓打ちが大きな役割を担う点は各流の神楽に共通する。[渡辺伸夫]

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