ものかは(読み)モノカハ

デジタル大辞泉 「ものかは」の意味・読み・例文・類語

もの‐かは

[連語]形式名詞「もの」+連語「かは」》活用語連体形一部助詞に付く。
多く「…もものかは」「…はものかは」の形で)ものともしない。物の数ではない。なんでもない。そっちのけにする。「世間非難ものかは政策を断行する」
「待つ宵のふけゆく鐘の声聞けばかへるあしたの鳥は―」〈平家・五〉
終助詞的に用いる。
㋐強い反語の意を表す。…だろうか、いやそうではない。…ことはない。
「すべて、月、花をば、さのみ目にて見る―」〈徒然・一三七〉
㋑強く驚き感動する意を表す。…ものではないか。…ことよ。
「この矢あたれと仰せらるるに、同じものを中心なからにはあたる―」〈大鏡・道長上〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ものかは」の意味・読み・例文・類語

もの‐かは

  1. 〘 連語 〙 ( 名詞「もの」に係助詞「か」「は」の付いたもの )
  2. [ 一 ] 文末にあって活用語の連体形を受ける。
    1. 強い反語を表わす。
      1. [初出の実例]「天竺に有る物ももてこぬ物かは」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 強い感動を表わす。
      1. [初出の実例]「この矢当れと仰せらるるに同じものを中心には当るものかは」(出典:大鏡(12C前)五)
  3. [ 二 ] 文末にあって助詞「は」「も」を受け、物の数ではない、なんでもないの意を表わす。
    1. [初出の実例]「まぢかくてつらきを見るはうけれどもうきは物かはこひしきよりは〈よみ人しらず〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)恋六・一〇四五)

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