モリソン・プラン(読み)もりそんぷらん(その他表記)Morrison Plan

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モリソン・プラン」の意味・わかりやすい解説

モリソン・プラン
もりそんぷらん
Morrison Plan

アメリカで、1920~30年代に単元論を展開し、新しい教授方式を発展させたシカゴ大学教育学部教授モリソンHenry Clinton Morrison(1871―1945)の学習指導の方法をいう。モリソン単元法とも訳されている。経験や環境への適応というプラグマティズムの教育観を包含し、ヘルバルト派の形式的段階を現代的に発展させたものとしての意義をもっている。

 このプランは、科学型の教科目について、学習単元を組織し、次の五段階の学習過程をとる。〔1〕探索exploration 学習者の過去の経験とこれから学習する経験との間の関係を、予備テスト問答法で知り、学習を動機づける。〔2〕提示presentation 新しい教材の提示や単元の重要な部分を教師が説明する。〔3〕同化assimilation 学級全体で目標に向かって学習を進め、学習者の能力、態度、技術を育て、理解を図る。〔4〕組織化organization 全体をまとめ整理する。〔5〕反覆recitation 理解したことを発表し、習熟の問題と練習を行う。

 モリソン・プランは、テスト、評価、指導を繰り返し、完全習得を図り、学力向上をねらうもので、日本には、経験主義教育批判が出てきた昭和20年代後半から30年代にかけて中学校教育に影響を与えた。

[武村重和]

『H・C・モリソン著、武藤清訳『モリソン・プラン』(1983・明治図書出版)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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