ユキホラアナゴ(読み)ゆきほらあなご(英語表記)Nigel arrowtooth eel

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユキホラアナゴ」の意味・わかりやすい解説

ユキホラアナゴ
ゆきほらあなご / 雪洞穴子
Nigel arrowtooth eel
[学] Ilyophis nigeli

硬骨魚綱ウナギ目ホラアナゴ科アサバホラアナゴ亜科に属する海水魚。択捉島(えとろふとう)沖から茨城県沖の太平洋沿岸域、千島(ちしま)列島沖のオホーツク海南部に分布する。体は長く伸長し、側扁(そくへん)する。頭は小さく、頭長は全長の約10~13%。頭頂部は若魚(全長23~30センチメートル)ではよく隆起するが、成魚では直線状。目は口裂の中央部より後方にある。前鼻孔(ぜんびこう)は管状で、吻端(ふんたん)近くの側面にあり、後鼻孔は目の直前に開き、周辺に三日月状の皮弁(皮質突起)をもつ個体からまったくないものまである。口の後端は目の後縁下を大きく越える。上顎(じょうがく)の先端は下顎のそれよりもわずかに前方に突出する。主上顎骨歯はおよそ4~5列の小さい歯の歯帯で、後方の歯は小さい。前上顎骨歯は主上顎骨歯よりやや大きい。下顎歯は主上顎骨歯とほとんど同じ大きさで、4~5列の歯帯になる。鋤骨歯(じょこつし)(頭蓋(とうがい)床の最前端の骨にある歯)は数列に並び、中央部のものは著しく大きい。鰓孔(さいこう)は胸びれの前方下の腹面から側面にあり、左右のものは体軸に平行して開く。鱗(うろこ)は細長く、数枚の平行に並ぶ鱗が直角に交差する。頭部には鱗がない。肛門(こうもん)は胸びれのはるかに後方に開く。背びれは胸びれの後端よりわずかに後方から、臀(しり)びれは肛門の直後から始まる。体は生鮮時には一様に白色で、時間が経つと褐色に変化する。体表の側線管の孔(あな)は白色。和名は白い体色が雪を連想させることに由来する。最大全長は50センチメートルあまりになる。水深500~1800メートルにすみ、底引網でとれるが、食用にはしない。本種はリュウキュウホラアナゴに似るが、頭部感覚管が目の周囲にあること、体側は鱗で密に覆われないことなどで後種と区別できる。

[尼岡邦夫 2019年11月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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