ユスラヤシ(読み)ゆすらやし(英語表記)butterfly palm

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユスラヤシ」の意味・わかりやすい解説

ユスラヤシ
ゆすらやし
butterfly palm
[学] Archontophoenix

ヤシ科(APG分類:ヤシ科)アレカヤシ亜科ユスラヤシ属の総称。幹は単一で直立し、高さ20~30メートル、幹肌に深い環紋(葉痕(ようこん))がある。雌雄同株で単性花をつけ、花色は青紫色。雄花には不稔(ふねん)の雌しべがあり、雌花には無葯(やく)の雄しべがある。雄しべ数は不定で8~24本。果実球形赤色種子は籠(かご)状の繊維で包まれた球体で、錯道(ジグザグ)質をなし、胚(はい)は底部にある。オーストラリアのクイーンズランド州、熱帯アジアに4種分布する。代表種は、ユスラヤシalexandra palm, king palm/A. cunninghamiana H.Wendl. et Drudeとユスラヤシモドキpiccabeen palm, cunningham's palm/A. alexandrea Wendl. et Drudeである。果実がユスラウメに似るのでユスラヤシの名がある。観賞用としては、ユスラヤシは葉の流線美があるが、ユスラヤシモドキは全体に貧弱である。

 ユスラヤシは高さ23~30メートル、径10~15センチメートル。葉は長さ3.6メートル、流線形に湾曲して垂れ下がり美しい。小葉は長さ50センチメートル、幅2.5センチメートル、表面は光沢のある緑色裏面灰白色。肉穂花序は長さ75センチメートル、雄花の雄しべは9~14本。果実は赤色の球形で、径1.5センチメートル。種子は網状の繊維で包まれ、球形で径1.2センチメートル、錯道質で胚は底部にある。栽培は容易で、栽培温度は6℃。ユスラヤシモドキは高さ20~24メートル、径8~10センチメートル。葉は長さ3.5メートル、湾曲度は少なく直線状である。小葉は表裏とも光沢のある鮮緑色で、長さ35センチメートル、幅5~10センチメートル。雄しべは12~16本。果実は赤色の球形で、径1.5センチメートル。種子は球形で、縦じわの繊維で包まれ、径1.2センチメートル、錯道質で胚は底部にある。栽培は前種同様である。

[佐竹利彦 2019年5月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android