ユダヤ機関(読み)ユダヤきかん(英語表記)Jewish Agency

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユダヤ機関」の意味・わかりやすい解説

ユダヤ機関
ユダヤきかん
Jewish Agency

1929年 C.ワイズマンによって創設され,エルサレムに本部をもつユダヤ人の国際的機関。パレスチナにユダヤ人の本拠を設けるというシオニストの計画の対外機関として,非シオニスト・ユダヤ人からの資金集め,パレスチナへのユダヤ移民の監督,ユダヤ系経済組織の確立などに努め,パレスチナ信託統治政府やイギリスとの交渉にあたり,国際連盟ではユダヤ人の利害を代弁した。 33年反ユダヤのナチス政権がドイツに成立すると,パレスチナへの移民割当て数の増加に尽力し,ナチスの弾圧孤児となったユダヤ人子女の世話と生活再建を目的とする「青年アリア (帰還) 計画」を推進。 42年5月,ニューヨークのビルトモア・ホテルにおけるシオニスト会議で,D.ベングリオンが機関を代表して,のちにビルトモア決議と呼ばれるにいたった計画を通過させたが,それは,パレスチナへのユダヤ人無制限移民,ユダヤ軍創設,ユダヤ国家としてのパレスチナ建設などを要求するものであった。このため非シオニストらは機関から脱退することとなったが,機関は第2次世界大戦後の国連討議におけるユダヤ問題の代弁者となり,47年 11月 29日パレスチナ分割が実現された。 48年イスラエル国家が樹立されると,機関は,移民,定住,青年アリア,情宣,イスラエル国外のユダヤ人教育などの問題に主として尽力した。 51年機関は世界シオニスト機構と法的に合体。 71年資金援助,移民促進などの面でイスラエルに協力した非シオニストの団体を機関に含めて拡大するという「ユダヤ機関再組織に関する協定」により,世界シオニスト機構をはじめ諸組織が同機関のもとに再編成された。

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