ユニバーシアード(読み)ゆにばーしあーど(英語表記)Universiade

翻訳|Universiade

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユニバーシアード」の意味・わかりやすい解説

ユニバーシアード
ゆにばーしあーど
Universiade

全世界の学生を対象としたスポーツの総合競技会。別名学生オリンピックともいう。1949年に発足した国際大学スポーツ連盟Fédération Internationale du Sport Universitaire(フランス語、略称FISU)が主催し、2年ごとに夏季冬季両大会を開く。

 前身は第二次世界大戦前に行われていた国際学生競技会で、1923年にパリで第1回大会を開いたあと、1939年のウィーン大会(第10回)まで続いた。第二次世界大戦後は、東側と西側に分裂、東側は「青年学生スポーツ大会」、西側は「国際学生スポーツ週間」の名でそれぞれに大会を開いていたが、1957年東西の間に歩み寄りがみられ、合同大会が同年パリで行われた。ユニバーシアード名称は、1959年の第1回夏季トリノ大会(イタリア)からつけられ、星に囲まれた「U」の旗も登場したが、実質的には1957年のパリ大会がユニバーシアードの始まりとされている。冬季大会は1960年にシャモニー(フランス)で第1回大会が開催された。

 大会は途中まで、夏季大会を奇数年、冬季大会を偶数年に開いてきたが、1981年から冬季、夏季の順で同じ奇数年に開催することに変わった。夏季大会の1967年(昭和42)東京大会では北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の国名呼称問題をめぐって紛糾し、北朝鮮は不参加、ソ連などの東欧諸国も同調してボイコットした。1975年はユーゴスラビアベオグラードの開催返上によりローマ陸上のみを実施。1989年もブラジルサンパウロの返上に伴い、西ドイツ(現、ドイツ)のデュースブルクで縮小して陸上、男子バスケットボールフェンシングボートの4競技のみを行った。冬季大会でも2013年はスロベニアマリボルが財政難などで返上、イタリアのトレントで開催された。

 参加資格は、ヨーロッパ、アジア、アメリカなどそれぞれに教育制度が異なるため、多少の幅をもたせてある。年齢は、かつては大会開催の年の1月1日に17歳を超えた者および28歳に達していない者の範囲内で、大学の在学生および開催年の2年前以内に卒業した者となっていたが、2016年の規則改正により2019年大会から開催年に18歳以上25歳以下で大学の在学生および開催年の前年に卒業した者と変更された。

 実施競技は大会によって異なり、2019年の夏季大会では陸上、競泳、飛込、水球、体操、新体操、バスケットボール、テニス、バレーボール、フェンシング、サッカー、卓球、アーチェリー、柔道、テコンドーの15が正式競技で、選択競技は7人制ラグビー、セーリング、射撃だった。また冬季大会はアルペンスキー、クロスカントリースキー、バイアスロン、カーリング、フィギュアスケート、フリースタイルスキー、アイスホッケー、ショートトラック、スノーボードの9が正式競技で、ほかにスキーオリエンテーリングなどが開催地の希望により選択競技として行われた。

 表彰式ではメダルの授与や優勝した国の選手団旗が掲揚されるのはオリンピックと同様だが、国歌演奏はなく、どの優勝者に対しても共通の「ユニバーシアード賛歌」が演奏される。

 日本は1957年の夏季パリ大会から夏・冬両大会に欠かさず参加(陸上のみ実施の1975年夏季ローマ大会を除く)しており、1967年に東京都、1985年に神戸市、1995年(平成7)に福岡市でそれぞれ夏季大会、1991年には札幌市で冬季大会を開催した。加盟国は、2020年の時点で174か国・地域で、非加盟国にも参加招待状を出している。2019年の夏季ナポリ大会(イタリア)には119か国・地域が参加した。

 日本は2020年に開催予定であったオリンピック東京大会へ向けての若手強化策が実り、夏季大会では2017年台北(タイペイ)大会(台湾)で金メダル数が初めてトップの37個を獲得した。メダル総数でも銀27、銅37の計101個で1位。続く2019年ナポリ大会(イタリア)でも金メダル33個で連続首位となり、メダル総数でも銀21、銅28の計82個でロシアと並んで1位だった。冬季大会では1991年札幌大会で金14、銀9、銅9の計32個、1993年ザコパネ大会(ポーランド)で金6、銀8、銅4の計18個、1997年茂朱・全州大会(韓国)でも金9、銀9、銅7の計25個で金メダル、メダル総数ともにトップになっている。

 2021年の冬季大会はスイスのルツェルンで(新型コロナウイルス感染症〈COVID(コビッド)-19〉の影響で1月から12月に延期)、夏季大会は中国の成都(せいと)で開催される。

[加藤博夫・中西利夫 2021年1月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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