日本オリンピック委員会(読み)にほんおりんぴっくいいんかい(英語表記)Japanese Olympic Committee

日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本オリンピック委員会」の意味・わかりやすい解説

日本オリンピック委員会
にほんおりんぴっくいいんかい
Japanese Olympic Committee

略称JOC。公益財団法人日本体育協会(現、日本スポーツ協会)寄附行為第6章に規定された委員会で、「オリンピック憲章」の国内オリンピック委員会NOC)の規定に基づき、国際オリンピック委員会IOC)およびアジア・スポーツ評議会にも加盟している。日本においては、国際オリンピック委員会とアジア・スポーツ評議会の事業に対して日本のスポーツ関係団体を代表し、国内におけるオリンピック・ムーブメントを推進し、オリンピック関係すべてを管理する。オリンピックの夏季大会と冬季大会、アジア競技大会とアジア冬季大会、ユニバーシアードあるいはこれに準ずる国際的競技大会を主催し、日本を代表する役員、競技者等を派遣し、参加させる。そのほかこれらに関連する事業を処理する。またスポーツ芸術の展覧とそれらを援助する。さらに各種担当委員会は、選手の競技力増進を図り、コーチを育成、体力向上に関する研究・調査、競技者の健康を管理し、スポーツについては政府の諮問に応じ、政府その他に対して意見を述べるほか、その施策に協力する。スポーツに関する諸資材や用具の研究・調査を行うとともにスポーツの宣伝啓発にもあたる。

 本委員会は1909年(明治42)嘉納治五郎(かのうじごろう)が国際オリンピック委員会委員に推薦されたのを機に、1911年に大日本体育協会名称の下に組織された。翌1912年の第5回ストックホルム大会に選手2人を派遣したのがオリンピック初参加であったが、第二次世界大戦には枢軸国側として参加したとして1948年(昭和23)の夏季、冬季大会には招待されなかった。1989年(平成1)、スポーツ界を取り巻く世界的環境の著しい変化に対応するため、体協に加盟後、新たに独立した法人として分離、さらに1991年4月、体協を脱退し、完全独立の法人となった。オリンピック憲章の規定では国内オリンピック委員会について完全な自主独立の団体の形を求めていることから、体協内の一委員会としてのJOCではなく、憲章に照らした独立委員会としてのJOCを望む声が多かった。独立したJOCは、各競技団体から選出された役員をもって組織される。初代会長(1989就任)は堤義明(つつみよしあき)(1934― )。所在地は東京都新宿区霞ヶ丘(かすみがおか)町4-2 JAPAN SPORT OLYMPIC SQUARE内。

鈴木良徳

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本オリンピック委員会」の意味・わかりやすい解説

日本オリンピック委員会
にほんオリンピックいいんかい
Japan Olympic Committee; JOC

日本における国内オリンピック委員会としての諸活動をとりしきる組織。オリンピック競技大会およびそれに準ずるアジア競技大会ユニバーシアード競技大会などといった国際総合競技大会への選手団派遣,オリンピック・ムーブメントの普及を活動の柱とする。日本体育協会(→日本スポーツ協会)の一機構だったが,1989年財団法人格を取得して独立する態勢を整え,1991年に完全独立した。ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻に端を発した西側諸国による 1980年モスクワ・オリンピック競技大会ボイコットといった国際政治がらみの対応の問題,1988年のソウル・オリンピック競技大会での日本勢の成績不振などが背景にあり,独自の組織運営と財源確保,さらなる選手強化の必要性に迫られての独立であった。

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