クーベルタン(英語表記)Pierre de Coubertin

デジタル大辞泉 「クーベルタン」の意味・読み・例文・類語

クーベルタン(Pierre de Coubertin)

[1863~1937]フランス教育家。男爵。教育の革新とスポーツ教育の重要性を主張。オリンピック復活を提唱して1894年、国際オリンピック委員会を結成。1896年、アテネ近代オリンピックの第1回大会を開催した。→オリンピック2

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「クーベルタン」の意味・読み・例文・類語

クーベルタン

  1. ( Pierre de Coubertin ピエール=ド━ ) フランスの教育家。男爵。古代オリンピック復興を提唱し、一八九四年国際オリンピック委員会(IOC)を組織、九六年近代オリンピック第一回大会をアテネで開催した。主著「スポーツ教育学論」「オリンピック回想録」。(一八六三‐一九三七

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「クーベルタン」の意味・わかりやすい解説

クーベルタン
Pierre de Coubertin
生没年:1863-1937

フランスの教育学者,国際オリンピック委員会IOC)の創立者。男爵家の三男としてパリで生まれ,父の希望で陸軍士官学校を卒業したが,軍人を嫌って教育学者を志した。1884年イギリスのパブリック・スクールを視察し,宗教とスポーツを重視する教育方針に強い感銘を受ける。さらに87年にはアメリカの大学を視察,学生スポーツの盛況を知り,スポーツの教育的価値を強く認識し,普仏戦争に敗れた後の祖国の再建を青少年へのスポーツの普及により果たそうと考えた。さらに,古代史に関心をもつ彼は,ドイツの考古学者E.クルティウスのオリュンピア遺跡発掘に刺激され,スポーツの国際交流による世界平和の実現に熱意を抱くようになった。92年フランス・スポーツ連盟の総会で,初めてオリンピック復活を提唱。欧米各国のスポーツ指導者に呼びかけて,94年パリ大学(ソルボンヌ)で国際スポーツ会議を開催し,6月23日全会一致でオリンピック復興を決議,直ちにIOCを創立した(ギリシアのD. ビケラスが初代会長)。96年アテネにおける第1回オリンピック大会が成功し,閉会後クーベルタンがIOCの第2代会長に就任,1925年まで在任して,オリンピック運動を軌道に乗せた。墓はローザンヌにあるが,遺言により心臓はオリュンピアの遺跡に埋葬された。
オリンピック
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「クーベルタン」の意味・わかりやすい解説

クーベルタン

近代オリンピック大会の創始者。フランスの貴族出身。教育家を志して英国に留学,パブリック・スクールを視察してスポーツが青少年教育に役立つことを知り,フランスの青少年をスポーツを通して教育し,祖国の再建に役立てようと考えた。さらに,オリュンピア遺跡の発掘にも刺激され,古代オリンピックのはたしていた平和実現の理想(エケケイリア=オリュンピアの休戦)にも感動し,スポーツの国際交流による世界平和を実現すべきだと考え,1892年,古代のオリンピックを現代に復興させることを提唱した。1894年国際オリンピック委員会を創立,1896年から1925年までその会長に就任した。
→関連項目オリンピック旗近代五種競技ロンドンオリンピック(1908年)

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クーベルタン」の意味・わかりやすい解説

クーベルタン
Coubertin, Pierre, baron de

[生]1863.1.1. フランス,パリ
[没]1937.9.2. スイス,ジュネーブ
近代オリンピックの創始者として知られるフランスの教育家。貴族の家に生まれ,サンシールの陸軍幼年学校を 16歳で中退,のちイギリスでイギリスの教育におけるスポーツの重要性に共鳴し,その理念を母国に移入しようと志した。1875年から 7年間にわたって行なわれたドイツの考古学者 E.クルチウスの古代オリンピア遺跡(→オリュンピア)の発掘に触発され,オリュンピア競技会(→古代競技会)復活の構想を立てた。1892年パリ会議で復活構想を公表するが賛同を得られず,1894年には周到な準備のうえ再度各国に招請状を出し,ソルボンヌ大学で 9ヵ国の代表者によるパリ会議を開催した。同会議において,6月23日にオリンピック復活を決議し,国際オリンピック委員会 IOCを組織した。1896年第1回オリンピック競技大会をアテネで開催。IOC初代会長の座はギリシア人のディミトリウス・ビケラスに譲ったが,1896年から 1925年まで第2代会長を務めたほか,オリンピック標語を制定したり,オリンピック・シンボルを創案するなど,オリンピックの発展と運動の推進に一生を捧げた。(→オリンピック競技大会

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クーベルタン」の意味・わかりやすい解説

クーベルタン
くーべるたん
Pierre de Coubertin
(1863―1937)

近代オリンピック競技の創始者。フランス人で男爵。先祖はルイ6世の流れをくみ、イタリア貴族やウィリアム征服王の廷臣もいる。父の希望で軍人になるためサン・シールの幼年学校に入学したが、ドイツに対する報復を主目的とする教育に反発し、政治家を志した。たまたま『トム・ブラウンのラグビー在校日記』を読み、イギリスのパブリック・スクールの教育の中心にスポーツがあることに共鳴し、ラグビー校校長でもあったT・アーノルドの思想を研究した。1886年、彼は政府の補助を受けたアメリカ視察の報告を兼ねて、文部大臣に教育におけるスポーツの重要性を建議したが、具体的な反応はなく、反対者をつくりだしたにすぎなかった。

 1887年ころ、当時のオリンピア発掘などに触発されてオリンピック復活を着想し、92年から運動を始め、94年これに成功して国際オリンピック委員会(IOC)を創設した。1896年から1925年まで第2代IOC会長、以後死去するまで名誉会長として近代オリンピック運動を指導・助言した。この間の経緯は、彼の著である『オリンピックの回想』に詳しい。第一次世界大戦中スイスのローザンヌに移り、そこで死去した。

[鈴木良徳]

『K・ディーム編、大島鎌吉訳『オリンピックの回想』(1962・ベースボール・マガジン社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

旺文社世界史事典 三訂版 「クーベルタン」の解説

クーベルタン
Pierre Baron de Coubertin

1863〜1937
フランスの教育者で,近代オリンピック競技の創始者
普仏戦争の敗北からの祖国再建を考え,1881年のオリンピア発掘を機に,古代オリンピア競技にならった国際競技会を提唱。1894年国際オリンピック委員会(IOC)を組織してオリンピックを復活させた。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「クーベルタン」の解説

クーベルタン
Pierre Baron de Coubertin

1863~1937

フランスの教育家。近代オリンピック競技の創始者として知られる。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

367日誕生日大事典 「クーベルタン」の解説

クーベルタン

生年月日:1863年1月1日
フランスの教育家
1937年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のクーベルタンの言及

【オリンピック】より

…冬季大会の回数はオリンピック大会とは別に数え,中止された大会は回数に加えない。
〔近代オリンピック〕

【オリンピックの復興とIOC】
 フランスの教育学者クーベルタン男爵の〈スポーツによる青少年教育の振興と世界平和実現のために,古代オリンピックを復興しよう〉という呼びかけに応じ,1894年6月23日,パリ大学(ソルボンヌ)講堂で開催されたフランス・スポーツ連盟主催の国際スポーツ会議で,オリンピックの復興が全会一致で決定し,13ヵ国から選ばれた15人をメンバーとするIOCが創立され,クーベルタンの推薦で,ギリシアのビケラスDemétrios Vikélasが初代会長に就任,近代オリンピアードの第1年を96年とし,第1回大会を古代オリンピックがオリュンピア(ギリシア)で行われていたことを記念して,ギリシアの首都アテネで開催することを決めた。第1回大会終了後,クーベルタンが第2代会長に就任,多くの困難と闘いながら1925年まで在任し,オリンピック運動を軌道に乗せた。…

【オリンピック委員会】より

…国際オリンピック委員会International Olympic Committee(略称IOC)と国内オリンピック委員会National Olympic Committee(略称NOC)がある。 IOCは,フランスの教育学者クーベルタンの提唱で,1894年6月23日パリで創立された。IOCの目的は,(1)スポーツの基調をなす肉体的・精神的資質の発達を促進する,(2)スポーツを通じて,青少年に相互のよりよき理解と友好の精神を教育し,それによって,よりよき,より平和な世界の建設に寄与する,(3)世界にオリンピック運動の原則を普及し,それによって国際親善を喚起する,(4)世界のアスリート(競技者)を,4年に1度の偉大なスポーツ祭典,オリンピック大会に参集させることにある。…

※「クーベルタン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android