ユヌスエムレ(その他表記)Yunus Emre

改訂新版 世界大百科事典 「ユヌスエムレ」の意味・わかりやすい解説

ユヌス・エムレ
Yunus Emre
生没年:?-1321ころ

トルコの民衆詩人。アナトリア中部サカリヤ川流域で生まれた。アナトリア方言による詩作は彼を嚆矢とする。ベクターシュ教団またはカーディリー教団の指導者タプドゥク・エムレのもとで修道生活を体験し,その作品には神秘主義色彩が強い。詩形にはペルシア的な音量律とトルコ的な音数律とを併用している。トルコ民衆の生活に根ざした素朴な作風は人々に愛され,トルコ近代文学にも大きな影響を与えた。
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関連語 小山

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユヌスエムレ」の意味・わかりやすい解説

ユヌス・エムレ
ゆぬすえむれ
Yunus Emre
(?―1320ころ)

トルコの民衆詩人。北西アナトリア(小アジア)に生まれる。中央アジアの詩人アフマド・ヤサウィAmad Yasawīを嚆矢(こうし)とする民衆的なイスラム神秘主義詩の伝統を受け継ぎ、簡潔なアナトリア・トルコ語によって人間愛、神への愛、神秘主義思想への傾倒などを歌い上げ、トルコ語、トルコ文学発展に貢献した。その素朴な作風は、現在でもなおトルコ人に愛され、トルコ近代文学にも大きな影響を与えている。

[永田雄三]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユヌスエムレ」の意味・わかりやすい解説

ユヌス・エムレ
Yunus Emre

[生]?
[没]1320
トルコの神秘主義詩人。生涯について詳しいことは不明。アナトリア出身で,イスラムの神秘主義教団の一つベクタシュ教団の長老であったと伝えられる。神の愛と人間の運命とを主題にした詩が多い。深い宗教的感情に裏づけられたその作品は 1910年以降のトルコ民族文学に大きな影響を与え,今日でも広く読まれている。

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