日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨツヅノレイヨウ」の意味・わかりやすい解説
ヨツヅノレイヨウ
よつづのれいよう / 四角羚羊
four-horned antelope
[学] Tetraceros quadricornis
哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ウシ科の動物。ヨツヅノカモシカともいう。インドに分布し、開けた森林や起伏のある丘陵地帯に生息する。肩高65センチメートル、体重17~21キログラムに達する。雌は角(つの)がないが、雄には4本の角があり、前方の角は3~4センチメートルと小さく、後方のものは10センチメートルほどと大きい。体上面は褐色、下面はやや淡い。普通は単独で生活するが、雄と雌のつがいや雄が4~5頭の雌を従えた小群、雌と子の群れなどもみられる。行動圏は明確で、圏内にはかならず水場があり、糞(ふん)を積んでマークするという。警戒心が強く、危険を察知すると低い警戒音を発し、茂みに飛び込む。交尾期は5~6月で、8か月余りの妊娠期間ののち、1~2月に1産1~3子を産む。警戒心が強いわりに、飼うと非常になれやすいので、ペットとして飼育されることもある。また、ヒンドゥー教徒からは聖獣視される。
[今泉忠明]