改訂新版 世界大百科事典 「ライール」の意味・わかりやすい解説
ラ・イール
Laurent de La Hyre
生没年:1606-56
フランスの画家。パリに生まれる。父エチエンヌも画家。ラルマンGeorges Lallemand(Lallemant)のアトリエで学び,フォンテンブロー城の装飾に加わる。初期作品にはマニエリスム風の手法がみられるが,しだいにS.ブーエなどのバロック的描法を見せる。1640年代になるとパリの邸宅(オテル)の装飾画やタピスリーのデッサン,あるいは新しく建築された教会のための宗教画を手がける。48年,〈絵画アカデミー〉の創設者12名の一人となる。風景画も描くが,歴史的主題のための考古学的正確さと清冽な古典主義的抒情性に富む。17世紀の風景画の一級の位置にある。音楽,数学などの学識も豊かで,《諸芸術の寓意》(1648)と題した作品ものこす。近年再評価が進む。
執筆者:木村 三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報