ラコルデール(英語表記)Jean Baptiste Henri Lacordaire

改訂新版 世界大百科事典 「ラコルデール」の意味・わかりやすい解説

ラコルデール
Jean Baptiste Henri Lacordaire
生没年:1802-61

フランスドミニコ会修道士,説教師。ラムネーを師とするロマン主義的な自由主義者の一人。1827年に司祭となり,その後,七月革命によって荒廃したフランス・カトリック教会再建をもくろんだ。30年にラムネーと知り合い,その機関紙《アブニール》に協力したが,同紙がローマ教皇から非難されたので,ラムネーと絶縁した。彼は以後あくまで正統的カトリックにとどまりながら,教会内部に自由主義を浸透させようと努力することになる。雄弁家として名高く,その説教はわかりやすく感動的で若い世代の心をとらえ,大好評を博した。フランスにおけるドミニコ会の再建を願い,40年に同会修道士となり,54年からソレーズに定住して若い人々の教育に献身した。60年アカデミー・フランセーズ会員。作品に《ラムネー氏の哲学体系に関する考察》(1834),《ノートル・ダム・ド・パリ説教集》(1844-51)などがある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラコルデール」の意味・わかりやすい解説

ラコルデール
Lacordaire, (Jean-Baptiste-) Henri

[生]1802.5.12. レシイシュルウルス
[没]1861.11.21. ソレーズ
フランスの聖職者,説教家。弁護士の道に入ったが,H.ラムネの著作にひかれ,1824年パリのシュルピス会神学校に入学,27年司祭。 30年ラムネの指導する自由主義的な雑誌『未来』に参加。 32年排斥されると 35年から自由主義的傾向を取入れてノートル・ダムの説教壇に立ち大成功を収めた。 38年ローマでドミニコ会に入り,以後フランスの再教化を目指して同会の再導入に尽力,50~54年フランス管区長。以後ソレーズで教育のための同会施設を創立してその発展に努め,60年アカデミー会員に選ばれた。キリスト教に立脚して自由を追求し,フランスの知的分野の展開に大きな影響を残した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラコルデール」の意味・わかりやすい解説

ラコルデール
らこるでーる
Jean Baptiste Henri Lacordaire
(1802―1861)

フランスのカトリック神学者で、有名な説教家。青年時代にルソーの影響を受けて自由主義を信奉したが、のちに改宗して神学校に学んで司祭となった。雑誌『未来』Avenirの編集に参加し、国家支配から教会を解放するため闘った。のちにパリのノートル・ダム大聖堂の説教家となり、市民から高い評価を得た。

 フランスの教会発展のために、修道会を導入する必要を感じ、自らイタリアに行ってドミニコ会に入会し、帰国後は、1790年以降弾圧されていた同会をフランスで再建し、多くの修道院設立、管区長としてそれらの指導にあたった。新聞『新時代』Ère nouvelleを創刊し、政治的発言をも行った。

[門脇佳吉 2017年12月12日]

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