ドミニコ会(読み)どみにこかい(英語表記)Ordo Praedicatorum ラテン語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドミニコ会」の意味・わかりやすい解説

ドミニコ会
どみにこかい
Ordo Praedicatorum ラテン語
Order of Dominic 英語
Dominican Order 英語

1216年に教皇ホノリウス3世の認可の下にドミニクスによって創立された修道会。正式会名は「説教者会」であり、フランシスコ会とともに托鉢(たくはつ)修道会ともよばれる。説教者会の精神は、「観想し、観想の果実を他の人々に伝えよ」ということばに表現される。共同生活、祈り、神学研究と三誓願(せいがん)(従順清貧、貞潔)によってキリストの観想を深めつつ、同時に西欧全土を旅して説教を行い、またパリ、ボローニャ、ローマなどの大学を中心に神学的啓蒙(けいもう)運動を展開してきた。

 キリストの真理を伝えようとするこのドミニコ会の理想は、プリズムによって光が多彩に分割されるように無数のドミニコ会士によって歴史のうちに生かされてきた。トマス・アクィナスは神学を、エックハルト、H・スーゾーらは神秘的観想を、フラ・アンジェリコは宗教的美を生き伝え、他方シエナの聖女カタリナはアビニョンの教皇を動かし、サボナローラの弁舌は宗教改革の先駆ともなった。日本には17世紀初頭のキリシタン時代に伝来、今日では仙台、福島、東京、京都、愛媛、福岡などで布教している。学校は聖トマス学院(京都市)がある。

[宮本久雄]

『J・G・バリエス編『星に輝く使徒』(中央出版社・中央新書)』『今野國雄著『修道院』(岩波新書)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドミニコ会」の意味・わかりやすい解説

ドミニコ会
ドミニコかい
Ordo Fratrum Praedicatorum; OP

1216年ドミニコがアウグスチヌスの修道会則にのっとってツールーズに創立したカトリック托鉢修道会。清貧のなかでの説教と神学研究を主要理念とし,従来の大修道院の隠遁的要素と新しい宣教活動とを総合,選挙による民主制度を大幅に取入れ,会員を個々の修道院から切離して修道会全体に所属させて超国家的な機動性を発揮した。早くから各地に学院を経営し,アルベルツス・マグヌスとトマス・アクィナスらを生んで 13世紀のスコラ哲学黄金期の一方の雄となった。 14世期には衰退するが,思想的にはドイツ神秘主義を開花させた。新大陸への植民時代には立直って各地に布教し,日本でも殉教者を出した。フランス革命の頃から再び衰退したが,19世紀後半から特にトミズム復興運動とともに学問研究の領域ですぐれた活動を展開している。

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