ラムネ(読み)らむね(英語表記)Félicité Robert de Lamennais

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラムネ」の意味・わかりやすい解説

ラムネ(Félicité Robert de Lamennais)
らむね
Félicité Robert de Lamennais
(1782―1854)

フランスの思想家。フランス革命後のカトリシズムに政治的自由主義を導入した。ブルターニュのサン・マロで生まれる。1816年司祭に叙階、『宗教無関心論』4巻(1817~1823)の刊行で爆発的な名声を得た。フランスにおける教皇権の制限を主張するガリカニズムを攻撃し、教皇権至上論(ウルトラモンタニズム)にたった。信仰と合一した「共同の理性」を主張、『未来』(ラブニール)誌を発刊(1830)してリベラルなキリスト教を鼓吹した。しかし、宗教と政治を混同したとして、教皇教書により再度告発破門された(1832、1834)。それ以後は教権の打倒を訴え、ローマ教会を捨てて「人類のキリスト教」を提唱、『哲学草案』(1840~1846年。公刊は1906年)を書きつつも、孤独のうちに死去した。

[池長 澄 2015年6月17日]

『岳野慶作訳『宗教無関心論(抄訳)』(1948・中央出版社)』『ラム・ネー著、松下和則訳『信者の言葉』(1948・創芸社)』『ラムネー著、田辺貞之助訳『民衆に与ふる書』(1949・創元社)』


ラムネ(清涼飲料)
らむね

清涼飲料の一種。レモン風味の炭酸飲料である。ラムネはレモネードlemonadeのなまった呼び名だといわれている。日本への伝来は1853年(嘉永6)のペリー来航のときという説と、1860年(万延1)に長崎港へきたイギリス人が伝えたという説とがある。この時代には、欧米でソーダ水が盛んに飲まれていたが、日本へ伝わったものの形態・風味は不明である。伝わった当時は、おもに居留地に住む外国人に飲まれていたが、明治に入って、日本人の間でも一般に飲まれるようになり、その後、日本では他国に比べ、長期にわたり人気をよぶ飲料となった。

 ラムネの特徴は、玉入れ瓶といった独特の形をした容器にある。瓶内のガラス玉がガス圧によって持ち上げられて密栓をしている。この密封法は1800年代にイギリス人のハイラム・コッドによって考案されたものである。それまで二酸化炭素を圧入した炭酸系飲料や発泡酒の密封法としてはコルクがよく使われ、その後、多くのものは王冠に変化した。ラムネについても、初期のころはきゅうり瓶とよばれるコルク栓で、底のとがった形(コルクを乾燥させないよう横に倒しておくための形)であった。明治時代になってから玉入れ瓶が普及し、多くのラムネ製造業者が現れている。明治の後半から昭和20年代までが庶民の飲み物としてラムネの全盛時代であった。その後各種のジュースやコーラに人気が移り、ラムネは急速に姿を消した。1969年(昭和44)ごろから郷愁を誘うものとして、縁日などで人気が復活している。

[河野友美・大滝 緑]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラムネ」の意味・わかりやすい解説

ラムネ
Lamennais, Hugus Félicité Robert de

[生]1782.6.19. サンマロ
[没]1854.2.27. パリ
フランスの哲学者,宗教思想家。貴族の位を得た富裕な船主の家に生まれ,兄ジャンの影響のもとに宗教家を志した。教皇至上主義をうたう護教論を書き,官憲の追及を受けて一時亡命,帰国後 1816年司祭となる。全人類の合意のうえに立つカトリックの権威と,教皇権の強化を説く『宗教無関心論』 Essai sur l'indifférence en matière de religion (1817~23) で一躍名を高めた。 1830年の七月革命を機に,『アブニール』L'Avenir紙を発刊,君主制を非難して教会の民主化を説き,若い自由主義宗教思想家やロマン主義文学者を糾合した。その後さらにこの傾向を強め,カトリック教会の権威主義を告発,教会を離れて『一信者の言葉』 Paroles d'un croyant (1834) を書き,さらには『民衆の書』 Livre du peuple (1837) で平等主義を唱え,当時の宗教思想,文学に大きな波紋を投じた。 1848年の二月革命後,国民議会の議員に選ばれた。

ラムネ

清涼飲料の一種。レモネード lemonadeが転訛した呼称で,日本独特のもの。成分はサイダーとほとんど同じ炭酸飲料だが,特徴ある瓶によって親しまれている。瓶詰の飲料水は一般に外からの栓によって密封するが,ラムネ瓶はあらかじめ中にガラス玉を入れ,口元を両側からくびっておき,炭酸ガスがそのガラス玉を押上げて密封されるようになっている。

ラムネ
Lamennais(La Mennais), Jean Marie Robert de

[生]1780.9.8. サンマロ
[没]1860.12.26. プロエルメル
フランスの聖職者。著名な哲学者 H.ラムネの兄。 1804年司祭,12~17年サン・ブリュ総代理,22~27年パリ軍隊付き司教総代理。その後プロエルメル教職会摂理修女会の創立者として指導に専念。

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