付加価値生産性(読み)ふかかちせいさんせい(英語表記)productivity of added value

改訂新版 世界大百科事典 「付加価値生産性」の意味・わかりやすい解説

付加価値生産性 (ふかかちせいさんせい)
productivity of added value

投入に対する付加価値比率である。付加価値とは企業がその経営活動を通じて新しく生産した価値であり,換言すれば,企業が一定期間に生産した価値からその生産のために他から受け入れて消費した中間生産物の価値を差し引いたものである。付加価値生産性には投入の内容により労働生産性資本生産性,設備生産性など各種のものがある。しかし,付加価値を生産する最も重要な要素労働であるから,労働生産性が最も基本的な指標とされ,これによって付加価値生産性を代表させることもある。

 労働生産性は労働に対する付加価値の比率であり,ふつう,労働を期間の平均従業員数によって表す。しかし,労働を労働時間数や賃金総額で表すこともある。労働生産性は,労働を表すのに従業員数を用いる場合には従業員1人当りの付加価値額であり,労働時間を用いる場合には労働時間1時間当りの付加価値額であり,また賃金総額を用いる場合には賃金1単位当りの付加価値額である。これらの指標は労働時間や人件費総額さらに成果配分の決定など経営管理に利用できる。

 ところで,労働生産性はつぎのように三つの要因に分解できる。

したがって,労働生産性はこれら三つの要因についても検討する必要がある。

 付加価値生産性分析は,本来,収益性分析に先立つものである。しかし,企業の行動原理が最大利益の追求であるため,企業の付加価値生産性分析は収益性分析を補足するものとなっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「付加価値生産性」の意味・わかりやすい解説

付加価値生産性
ふかかちせいさんせい
productivity of value added

労働,資本などの生産過程に投入された生産要素1単位が一定期間 (通常1年) に生み出した付加価値。各企業が生産において新たにつけ加えた価値で,それの国全体の合計国民総生産 GNPまたは国民純生産 (NNP=GNP-減価償却費) である。付加価値を時価で表示するか,固定価格で表示するかによって名目付加価値生産性と実質付加価値生産性に区分され,また減価償却費を含むか,含まないかによって粗付加価値生産性と純付加価値生産性とに区分されるが,最も基本的な概念は労働の実質粗付加価値生産性であるといわれる。 (→労働生産性 )

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流通用語辞典 「付加価値生産性」の解説

付加価値生産性

付加価値は企業活動(生産、販売)の過程で新たに加えられた価値をいう。売上高から原料費(仕入れ原価)と減価償却費を引いたもので、人件費、利子、利潤の合計に等しい。付加価値生産性は労働者の1人当たり付加価値額である。

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世界大百科事典(旧版)内の付加価値生産性の言及

【労働生産性】より

…生産額から原材料費や燃料動力費等の中間的投入を控除すると,付加価値が得られる。それの労働投入量に対する比率を,付加価値生産性と呼ぶ。付加価値は賃金,地代,利子・利潤として,生産に参加した諸要素の所得となるので,分配問題と関連づけて労働生産性を議論するときは,付加価値生産性を用いるのがよい。…

※「付加価値生産性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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