日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラテンアメリカ統合連合」の意味・わかりやすい解説
ラテンアメリカ統合連合
らてんあめりかとうごうれんごう
Asociación Latinoamericana de Integración スペイン語
略称ALADI(アラディ)。英語でLatin America Integration Association(LAIA)。ラテンアメリカの地域的経済統合機構の一つ。1981年3月、それまでのラテンアメリカ自由貿易連合(LAFTA(ラフタ))にかわるべきものとして発足した。構成国はLAFTAと同じく、南米10か国とメキシコの計11か国。本部はウルグアイのモンテビデオに置かれており、内部機関としては、最高決定機関である外相理事会、評価統合会議、代表委員会、常設事務局がある。
前身であるLAFTAは、1960年2月にモンテビデオで調印された創設条約(モンテビデオ条約)に基づいて翌61年6月1日発足。ラテンアメリカにおける自由貿易地域の実現を基本的な目的とし、国別品目別譲許の交渉によって域内の自由化を進め、60年代はかなりの進展をみたが、60年代末から停滞、また、工業開発を目ざす産業補完協定制度による工業化計画も期待どおりの成果をあげなかった。このため、80年6月にメキシコのアカプルコで開かれたLAFTA閣僚会議でLAFTAの改組を決定、新しいモンテビデオ条約を結び、ラテンアメリカ統合連合として翌81年3月18日に正式発足した。LAFTAは関税および貿易に関する一般協定(GATT(ガット))およびその後身のWTO(世界貿易機関)に正式に承認された地域統合であるが、ALADIもそれを継承している。
1980年モンテビデオ条約によると、ALADIは、締約国の経済・社会開発のため、域内統合を推進し、最終的にはラテンアメリカ共同市場を達成することを目的としているが、当面は地域関税特恵(加盟国の発展階段に応じて一定の特恵マージンを相互に与え合う方式)を手段として域内貿易の推進を図るものである。加盟国内にチリ、ペルー、コロンビア、エクアドル、ボリビア(これらの国は1969年にアンデス・グループ=後のアンデス共同体を発足させた。ただし、チリは76年に脱退)、ベネズエラ(1973年にアンデス・グループに加盟)のような、比較的低開発、市場狭小な国と、アルゼンチン、ブラジル、メキシコのような域内先進国とがあり、それらの国の間で工業化の進展、工業品の輸出における格差が目だつところから、ALADIは、二国間交渉の尊重、加盟国の一部により締結される部分協定の採用、比較的低開発国に対する優遇措置の実施など、LAFTAのときよりは柔軟な対応を通じて域内貿易の拡大を図っている。そのために、ALADIの内部に一部の国との統合を認めている。南米南部共同市場(MERCOSUR(メルコスール))やチリと他の多くの国との間の2か国間協定などラテンアメリカ内のいくつかの準地域統合の動きは、ALADIの枠のなかでの統合の一環として行われたものである。
[相原 光]