ラベッソン=モリアン(読み)らべっそんもりあん(英語表記)Jean Gaspard Félix Lacher Ravaisson-Mollien

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラベッソン=モリアン」の意味・わかりやすい解説

ラベッソン=モリアン
Ravaisson-Mollian, Jean Gaspard Félix Lacher

[生]1813.10.23. ナミュール
[没]1900.5.18. パリ
F.ラベッソンとして知られるフランスの哲学者。 F.シェリング,V.クーザンに師事。 1838年レンヌ大学教授,40~60年公共図書館監督官,以後高等教育視学官。 70年からはルーブル博物館古代部門の保護官を兼ねた。『習慣論』 De L'habitude (1839) で時間と空間の区別根底に生命と物質,自然と必然,活動能力と悟性を論じ,ベルグソンに大きな影響を与えた。政府の求めで書かれた『19世紀フランス哲学についての報告』"La Philosophie en France au XIXe siècle" (68) は当時の哲学傾向の全貌概論であり,これはブートルー,ベルグソン以下今日まで続く新しい唯心論学派の宣言ともいうべき位置を占め,その後のフランス哲学の動向にとって記念碑的著作となった。ほかに『アリストテレス形而上学試論』 Essai sur la Métaphysique d'Aristote (2巻,37,46) もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラベッソン=モリアン」の意味・わかりやすい解説

ラベッソン・モリアン
らべっそんもりあん
Jean Gaspard Félix Lacher Ravaisson-Mollien
(1813―1900)

フランスの哲学者、芸術史家。ナミュールの生まれ。メーヌ・ド・ビランの哲学を継承し、さらにアリストテレス、シェリングらの影響を受ける。1837年アリストテレスの形而上(けいじじょう)学をメーヌ・ド・ビラン流の能動的哲学によって解釈し直した『アリストテレスの形而上学試論』2巻(1837、1846)により、道徳科学アカデミー賞を受賞。『習慣論』(1838)では、習慣性は意識の自発性を超えて自然そのものの自発性を示していると主張した。能動的理性の働きを習慣的諸事実の内部に認め、意識と無意識、意志と自動作用、つまり精神と自然の連続的相互連関性を認めて、独特の自然哲学、形而上学を樹立してブートルー、ベルクソンらに影響を与えた。

[足立和浩 2015年6月17日]

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