ラベンダー油(読み)ラベンダーゆ(その他表記)lavender oil

改訂新版 世界大百科事典 「ラベンダー油」の意味・わかりやすい解説

ラベンダー油 (ラベンダーゆ)
lavender oil

地中海沿岸地方原産のシソ科の半木本性植物のラベンダーの花,枝および葉から,水蒸気蒸留または溶剤抽出により採取される精油。上品な芳香のため古くから香料として重用されている。主成分酢酸リナリルlinalyl acetateで,通常30~40%含有されている。そのほかリモネンリナロールゲラニオール,およびそのエステル類,ネロール,シネオール,d-ボルネオールなどが含まれている。化粧品,セッケン用香料をはじめ高級香水用として広く用いられる。また薬用として神経痛,リウマチなどに用いたこともある。なお,地中海沿岸地方でlavender cottonと呼ばれる小低木があり,その花からも精油を得ているが,これは主成分はサントリナ油santolina oilとして知られるもので,ここで述べたラベンダー油とは異なる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラベンダー油」の意味・わかりやすい解説

ラベンダー油
らべんだーゆ
lavender oil

シソ科の植物ラベンダーなどの花穂の水蒸気蒸留により収油率0.7~0.85%で得られる精油。また、溶剤抽出によって1.5~2.2%のコンクリートが得られ、アルコール処理により50~60%のアブソリュート(絶対花精油)が得られる。この精油成分は酢酸リナリル、リナロール、3‐オクタノン、ラバンジュロールである。この植物の主産地はフランスであるが、イタリア、イギリス、旧ソ連地域、オーストラリア、北アメリカ、日本(北海道)などで栽培されている。ラベンダー油の品位は酢酸リナリルの含有量によって定められ、市販の商品には酢酸リナリル含有量を明示してあり、種々の等級がある。

 ラベンダー油は重要な香料であり、香水、化粧水オーデコロンポマードせっけんなどのあらゆる分野に広く応用される。コンクリートおよびアブソリュートは、おしろい、バスソルト、ひげそりクリームなどに用いて効果がある。

[佐藤菊正]

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化学辞典 第2版 「ラベンダー油」の解説

ラベンダー油
ラベンダーユ
lavender oil

シソ科ラベンダーLavandula veraの花を水蒸気蒸留または溶剤抽出すると得られる芳香油.成分は,酢酸リナリル,l-リナロール,ゲラニオール,ラバンズロールなどである.無色または帯黄色の液体.0.887~0.890.1.464~1.470.エタノールに可溶.化粧せっけん,化粧水などの原料として用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラベンダー油」の意味・わかりやすい解説

ラベンダー油
ラベンダーゆ
lavender oil

ラベンダー Lavandula veraの花から蒸留によって得られる精油。フランスのプロバンス地方,アルプスの南端部標高 800mぐらいが良質の油を得るラベンダーの栽培の適地とされている。オーデコロンの清涼感を与える香料として重要な花香油で,欧米人に古くから愛用されている。改良高収率品種 Lavandula hatifolia fragransから得られる精油の生産も多く,これはラバンジン油として広く石鹸香料用として使用されている。

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栄養・生化学辞典 「ラベンダー油」の解説

ラベンダー油

 シソ科の植物ラベンダー[Lavandula augustifolia],[L. latifolia]の葉や葉枝からとる精油で,香料として利用する.

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