日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランガルト」の意味・わかりやすい解説
ランガルト
らんがると
Alexander Langgaard
(1847―1917)
ドイツの薬学者。明治の薬学外国人教師。ハンブルク出身。ベルリン大学のリーブライヒOscar Liebreich(1839―1908)の下で薬理学を専攻、学位を得て、秀才の名を高めた。1875年(明治8)27歳で日本政府より近代製薬学教育指導に招かれ、人材育成に6年間精勤して、東京大学薬学部の基礎確立に貢献した。月給300円のほかに医学校の薬理学を兼務して50円増、これは参議(大臣)と同額であった。その間、日本産ハシリドコロ、烏頭(うず)のアルカロイドを発見、初めて薬理試験を行い、日本の薬理学部門の先駆をなした。また初版『日本薬局方』編纂(へんさん)に参与し、ドイツ文原案作成に寄与した。1881年帰国に際し、明治天皇に拝謁、勲四等を賜る。帰国後、ドイツでも日本における功績は高く評価された。リーブライヒと共同の薬理研究所教授となり、研究と著述に専念した。
[根本曽代子]