秀才(読み)シュウサイ

デジタル大辞泉 「秀才」の意味・読み・例文・類語

しゅう‐さい〔シウ‐〕【秀才】

非常にすぐれた学問的才能。また、その持ち主。
中国で、科挙試験科目の一。のち、科挙に応じる者および合格者をさすようになった。また、明・清時代には府・州・県学の在学生を称した。
律令制の官吏登用試験科目の一。また、その試験に合格した者。
[類語]英才俊才天才才人才子俊英偉才奇才鬼才才女才媛才物異能

す‐さい【秀才】

《「す」は「しゅう」の直音表記》「しゅうさい(秀才)3」に同じ。
「人に文読ませなどするほどに、―四人まゐれり」〈宇津保・沖つ白浪〉

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精選版 日本国語大辞典 「秀才」の意味・読み・例文・類語

しゅう‐さいシウ‥【秀才】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 令制の、官吏登用のための国家試験の科目の一つ。
    1. [初出の実例]「凡秀才。試方略策二条」(出典:令義解(718)考課)
  3. の国家試験の合格者。
    1. [初出の実例]「凡秀才。取博学高才者」(出典:令義解(718)選叙)
  4. 文章得業生(もんじょうとくごうしょう)異称。茂才。
    1. [初出の実例]「弱冠奉試補文章生、学業優長挙秀才」(出典:続日本後紀‐承和九年(842)一〇月丁丑)
  5. 昔、中国で行なわれた官吏登用試験科目。中唐以後廃絶。のち、科挙に応ずる者を一般に称した。また、明・清時代には府・州・県学の生員(在学生)をいった。
    1. [初出の実例]「秀孝は秀は秀才ぞ。孝は孝廉直な者を科に挙ぞ」(出典:両足院本山谷抄(1500頃)四)
    2. [その他の文献]〔唐六典‐巻四〕
  6. すぐれた才能。また、その持ち主。学識・才芸などのすぐれた人。
    1. [初出の実例]「いたづらにふる身のはての愚昧なるをなげき他人の秀才なるをうらやみて自己の商売に懐をのぶ」(出典:三十二番職人歌合(1494頃)三十一番)
    2. [その他の文献]〔管子‐小匡〕

す‐さい【秀才】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「す」は「しう」の直音表記 ) 令制で大学寮の文章生の試験に及第したもの。しゅうさい。
    1. [初出の実例]「人に文読ませなどするほどに、すさい四人まゐれり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)沖つ白浪)

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改訂新版 世界大百科事典 「秀才」の意味・わかりやすい解説

秀才 (しゅうさい)

日本古代の律令制下に式部省が行った官人登用試験の一つ。博学高才として大学などから貢挙されたものに,大きな論題二つを課し,上上~下下の9等に評価した。中上第までの4等が及第で,上上第は正八位上,上中第は正八位下を授けるがひじょうに難関であった。蔭位(おんい)資格者や孝悌で表彰されたものは,蔭位・叙階に一等を加えて叙すことになっていた。上下,中上第は式部留省であったが,802年(延暦21)にそれぞれ大初(そ)位上,大初位下に叙すことになった。
考試
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普及版 字通 「秀才」の読み・字形・画数・意味

【秀才】しゆう(しう)さい

才能のすぐれたもの。〔管子、小匡〕是の故に農の子は常に農爲(た)り。~其の秀才の能く士と爲(な)るは、則ちむに足るなり。故に以てせば則ち粟(ぞく)多く、以て仕ふるときは則ち賢多し。

字通「秀」の項目を見る

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「秀才」の解説

秀才
しゅうさい

律令制下の最高の任官試験。「大事之要略」を問う方略策(ほうりゃくのさく)という論文を2題課し,その文章と内容によって上上・上中・上下・中上第(以上及第)・不第に評定した。上上・上中第合格者は正八位上・下に叙されて出仕を許され,上下・中上第合格者は式部留省(りゅうしょう)となり,考満叙位ののちに出仕が認められた。802年(延暦21)には上下・中上第はそれぞれ大初位上・下に叙されるように改められた。平安時代に入ると,文章得業生(もんじょうとくごうしょう)と秀才試の関係が密接になるとともに,文章得業生が秀才と別称されるようになり,試験の名称としては「方略(之)試」「方略之策」が用いられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「秀才」の意味・わかりやすい解説

秀才
しゅうさい

優れた才能の意で、その持ち主をもいう。中国で、隋(ずい)時代から清(しん)代までのおよそ1900年間行われた科挙(高等官資格試験)の、唐代における主要科目の一つに秀才科があり、秀才はその受験資格の持ち主や試験合格者をさしていった。日本でも令(りょう)制によって制度化され、重要国策に関する問題を扱う方略策の試験及第者の称とした。そのため文章得業生の異称としても用いられ、のち、さらにこれが転じて、人並みはずれた才能やその持ち主をいうようになり、今日のように、天才に次ぐ才能を意味し、知能段階の序列を表すことばとしても用いられるようになった。

[宇田敏彦]

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世界大百科事典(旧版)内の秀才の言及

【科挙】より

…従来科挙は次代煬帝(ようだい)の大業年間(605‐618)に創始されたと考えられてきたが,これは誤りである。
[変遷]
 唐は隋制を受け,科挙に秀才,進士,明経,明法その他の科目を設けた。秀才には政治上の意見などを問う策論を課するが,採点が厳しすぎて合格者がなくなり廃止された。…

【中国】より

…(3)生員。府学,州学,県学の学生で,俗に秀才という。生員にパスしたならば科挙の第一関門を通過したわけである。…

【紀伝道】より

…すなわち,教科内容は三史(《史記》《漢書》《後漢書》)その他の中国の歴史書や,《文選(もんぜん)》以下の中国の詩文などであり,教官には文章博士2人があたった。文章生は20人で,これを進士と称したが,その中の優秀な者2人を文章得業生とし,これは秀才と称した。また文章生の希望者が多いので,文章生候補者として,擬文章生20人が置かれた。…

【考試】より

…そして典薬寮の医・針生は,医・針博士が1ヵ月に一度試験し,典薬頭・介が一季ごとに試験したが,さらに宮内卿・輔が年終試を行った。つぎに中国の科挙にならった式部省による官人採用試験は,(1)秀才は博学高才のものを採り,方略試2条を試験して,上上~中上第の四等が及第,上上第は正八位上,上中第は正八位下に叙した。(2)明経(みようぎよう)は二経以上に通じたものを採る。…

※「秀才」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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