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薬局方 やっきょくほう pharmacopoeia

翻訳|pharmacopoeia

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

薬局方
やっきょくほう
pharmacopoeia

使用度が高く評価の定まった重要医薬品について,強度,品質,純度の基準を国が定めた公定書をいう。各国とも医薬は民間の製剤,処方から出発しているが,やがてこれに統一を与える必要から発達したもので,初め都市の公共団体や医師会が制定したが,のちに国家が制定してこれに法的強制力を与えることになった。

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デジタル大辞泉の解説

やっきょく‐ほう〔ヤクキヨクハウ〕【薬局方】

その国で使用される重要な医薬品について、一定の品質・純度・強度の基準を定めた法令。
日本薬局方」の略。

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百科事典マイペディアの解説

薬局方【やっきょくほう】

主要な医薬品について,その品質・純度・強度などの基準を定めた公定書。ふつう国家が制定または認定し,法的拘束力を有する。おもな目的は高品質な医薬品を供給することにある。
→関連項目蒸留水リンゲル液

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世界大百科事典 第2版の解説

やっきょくほう【薬局方 pharmacopoeia】

重要な医薬品について,その性状,品質,製法その他の基準を定めたもので,一般に法的強制力をもつ公定書のことを薬局方,略して局方という。薬局方の英語はラテン語のpharmacopoeaにさかのぼり,その語源はギリシア語のpharmakon(薬)とpoiia(作り方)の組合せに由来する。医薬品は人の生命にかかわるものであるから,その品質を適正に保つことは,医薬品の効力,安全性とならんで医薬品の具備すべき必須条件である。

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大辞林 第三版の解説

やっきょくほう【薬局方】

その国の重要な医薬品に対して一定の性状および品質の適正化をはかるため、規格・試験法などを記した公定書。
「日本薬局方」の略。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

薬局方
やっきょくほう
pharmacopoeia

医療に供する重要な医薬品について、その性状および品質の適正を図るため、品質、純度および強度の基準を定めたものである。単に局方ともいい、国またはこれに準ずる機関によって制定されたものが多い。また、1国だけでなく数か国共同で制定されたものもある。ヨーロッパ薬局方(EP)、国際薬局方(IP)がその例で、EPは欧州評議会(EC)加盟国間で共通して使用される規格と試験法がまとめられ1969年刊行された。IPは、法の未整備や設備・技術が十分でない発展途上国の医薬品品質管理のため世界保健機関WHO)が制定しているもので、1951年初版が発行された。独自の薬局方を制定している国には、日本をはじめアジア9か国、中東1か国、アフリカ1か国、ヨーロッパ24か国、北アメリカ1か国(日本薬局方解説書編集委員会編『第十五改正 日本薬局方解説書』による)がある。[幸保文治]

歴史

薬局方の歴史はヨーロッパから始まった。神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世は商人ギルドの働きかけもあって、当時医師が調剤を独占し、一方、薬は専門知識の疑わしい業者が利益のみを追求して製造されていた状況から、正しい治療を行うために医師の売薬を禁ずる法律を1240年に公布し、医薬分業制度を確立した。これにより、薬学知識を修めた薬剤師が薬局で医師の処方によって調剤を行うことが義務づけられた。この制度がヨーロッパに浸透するにしたがい、薬局で販売する医薬品の品質を保証する公定処方書(薬局方)の概念が必然的に発生し、1498年イタリアのフィレンツェの薬剤師協会が私的処方書である『Ricettorio』を発行した。続いて1546年ドイツのニュルンベルク市は公定の薬局方『Dispensatorium』を発行、また1618年にはイングランド王ジェームズ1世がロンドン薬局方『Pharmacopoea Londinensis』を、さらにオランダにおいて1770年ライデン薬局方『Pharmacopoea Leidensis』が発行され、引き続き1792年アムステルダム薬局方、1805年バタビア薬局方、ロッテルダム薬局方などが発行された。これらはすべて都市薬局方であり、限定された地域のみを対象としたものであるが、国で定める国定薬局方の発行を促進したことは事実である。
 国定薬局方の最初は1772年に発行されたデンマークの薬局方『Pharmacopoea Danica』である。日本薬局方は世界で第21番目の刊行である。
 日本語の局方という名称は、江戸時代の蘭方(らんぽう)医中川淳庵(じゅんあん)著『和蘭(オランダ)局方』がオランダのライデン薬局方の最初の訳書といわれ、淳庵がPharmacopoeaを局方と訳した。また、局方そのものは平安時代末期に中国(宋(そう))より渡来した医方書『太平恵民和剤局方』(通称『和剤局方』)によったと伝えられている。[幸保文治]

日本薬局方

明治初期、欧米文化の急速な摂取に伴い医療も従来の漢方医学から西洋医学へと大きな転換が行われ、漢方生薬(しょうやく)にかわって洋薬が大量輸入された。しかし、その作用が激しく、品質の不均一による人体への危険性が増大し、さらに輸入洋薬に粗悪品や贋造(がんぞう)品(偽物)が多くなり、これを取り締まるための司薬場(国立医薬品食品衛生研究所の前身)の設置と医薬品試験の基準となるべき方書の制定が望まれた。まず、1874年(明治7)3月27日東京司薬場(日本橋馬喰(ばくろ)町)、75年2月15日京都司薬場、同年3月24日大阪司薬場が発足したが、京都司薬場は1年半で廃止(76年8月)され、かわって横浜と長崎に司薬場が新設された。当時、司薬場の監督は外国人教師が担当し、薬品試験と同時に薬学教育も行われた。そして医薬品の品質を規定した日本最初の薬局方を制定するため、1875年、当時の京都司薬場のヘールツ(日本の通称ゲールツ)Anton Geertsと大阪司薬場のドワルスB. W. Dwarsの両人に日本薬局方草案の作成が内務省より依頼された。この草案はヘールツが主体となって作成され、1877年12月に完成している。ヘールツはオランダ薬局方を中心にして、ドイツ薬局方、フランス薬局方、イギリス薬局方、アメリカ薬局方などを参照している。その後、1879年内務省に中央衛生会(会長長与(ながよ)専斎)が設置されたのを機に、80年10月6日内務卿(きょう)松方正義(まさよし)が日本薬局方選定の儀を太政(だじょう)大臣三条実美(さねとみ)に上申し、同年11月5日に太政官より聴許を得た。かくして薬局方編纂(へんさん)委員として、当時の海軍中医監高木兼寛(かねひろ/けんかん)、陸軍薬剤正兼二等軍医永松東海(1840―98)、衛生局員柴田承桂(しばたしょうけい)、司薬場教師ヘールツ、同エイクマンJ. F. Eijkmann、東京大学医学部製薬学科教師ランガルトAlexander Langgaardらが選ばれた。ヘールツの草案は1881年1月の第1回委員会に提出されたが、諸般の事情により改訂を余儀なくされた。その後、ランガルトとヘールツが分担して起草したが、ランガルトの帰国とヘールツの没後はエイクマンがドイツ語の起草原稿の修正と新原稿を独自にまとめた。ドイツ語の草稿を日本語に訳し、日本語稿本を日本薬局方案として審議し、1885年10月13日に日本薬局方の日本文、ドイツ文、ラテン文の3巻を内務卿に提出して、4年余を費やした編纂を終わった。この『日本薬局方』初版は翌1886年6月25日、官報第894号付録として発行され、内務省令第10号で「日本薬局方別冊ノ通リ創定シ明治二十年七月一日ヨリ施行ス」となった。
 初版『日本薬局方』の収載品目数は468、その内容は有機医薬品59、無機医薬品80、生薬89、油脂揮発油37、製剤177、製剤原料19、衛生材料など7である。ちなみに、『第十五改正日本薬局方』(2006)では収載品目数が1483になっている。
 初版以降、『第二版日本薬局方』が1891年(明治24)5月に、『第三改正日本薬局方』が1906年7月に、『第四改正日本薬局方』が1920年(大正9)12月に、『第五改正日本薬局方』が1932年(昭和7)6月に、それぞれ発布された。その後は第二次世界大戦の影響を受け、部分改正はあったものの全面的改正は行われなかった。戦後1947年にアメリカ薬局方が改正され、これを期に日本薬局方も改正の必要に迫られた。そしてできあがったのが『第六改正日本薬局方』で、1951年3月1日公布された。これより『第七改正日本薬局方』(1961年4月1日)、『第八改正日本薬局方』(1971年4月1日)として10年ごとに大改正が行われ、『第九改正日本薬局方』(1976年4月1日)より5年ごとの改正となり、『第十改正日本薬局方』(1981年4月1日)、『第十一改正日本薬局方』(1986年4月1日)、『第十二改正日本薬局方』(1991年4月1日)、『第十三改正日本薬局方』(1996年4月1日)、『第十四改正日本薬局方』(2001年4月1日)、『第十五改正日本薬局方』(2006年4月1日)、が公布されている。
 『第六改正日本薬局方』公布当時公定書として日本薬局方のほか、『第二改正国民医薬品集』があり、1960年に新たに制定された薬事方(現、薬事法の基)により『第六改正日本薬局方』および『第二改正国民医薬品集』はそれぞれ日本薬局方第一部および日本薬局方第二部とみなすこととなり、以後、『第七改正日本薬局方』より第一部、第二部として『第十四改正日本薬局方』まで続いた。ちなみに、『第十四改正日本薬局方』では第一部には通則、製剤総則、一般試験法、第一部医薬品各条、第二部には生薬総則、製剤総則、一般試験法、第二部医薬品各条と参照紫外可視吸収スペクトル第一部、同第二部、参考情報が収載されていた。そして、収載品目の内容は薬事法で「第一部には、主として、繁用されている原薬たる医薬品及び基礎的製剤を収め、第二部には、主として、混合製剤及びその原薬たる医薬品を納める」となっている。
第一部には、
(1)繁用される原薬となる医薬品
(2)繁用される基礎的製剤(主として単味の製剤)
(3)繁用されないがとくに治療上必要な医薬品
また第二部には
(1)混合製剤
(2)天然より生産された医薬品(主として生薬類)
(3)製剤化のために必要な物質
(4)そのほか衛生材料
などが収載されていた。薬事法の改正により、日本薬局方の収載品目(選定)に関する項目が削除され、『第十五日本薬局方』では第一部、第二部の区別がなくなり、医薬品各条は一本化し、化学医薬品と生薬等の二つに分けて収載された。これは国際的趨勢(すうせい)に沿った画期的な改変である。『第十五改正日本薬局方』の構成は、通則、生薬総則、製剤総則、一般試験法、医薬品各条、参照紫外可視吸収スペクトルおよび参照赤外吸収スペクトルとなっており、終わりに参考情報、附録として厚子量表、索引が付されている。通則は薬局方を運用するための原則となる規定である。製剤総則には、製剤全般にわたる一般的注意事項をまとめた製剤通則と28の剤形が収載されており、今回新たに収載された剤形に経皮吸収型製剤がある。貼付剤の一種で、薬物を皮膚粘膜より吸収させ、全身作用を利用するもので、貼付剤から分離して一剤形となった。参考情報はアメリカ薬局方(USP)のGeneral information(一般情報)に相当するもので、規制事項とするにはあたらないが、内容上特記するに足るものとして収載されている。参考情報には(1)医薬品の品質確保のうえで必要な参考情報、(2)日本薬局方の医薬品の適否の判定基準にあたらない試験法など、30項目が収載されている。
 薬局方の性格は、規格書であると同時に医薬品の製造および使用に関しての指導書的な面ももっている。一方、医薬品各条に調剤上あるいは取扱い上の留意点などの情報を記載してほしいという使用者側の希望もあるが、日本薬局方は現状では規格書として公的な書という性格で使用されており、別に『JPDI日本薬局方医薬品情報2006』が発行されている。
 医薬品の国際化が進むなか、日本薬局方、アメリカ薬局方、ヨーロッパ薬局方の3薬局方の調和を図る目的で、1989年、3薬局方の関係者によって薬局方国際調和会議Pharmacopoeial Discussion Group(PDG)が発足し、試験法や医薬品添加物モノグラフの調和を目ざし活動が開始され、成果が日本薬局方に反映されている。[幸保文治]
『日本公定書協会監修『第十四改正 日本薬局方』(2001・じほう) ▽日本薬局方解説書編集委員会編『第十四改正 日本薬局方条文と注釈』(2001・広川書店) ▽日本薬局方解説書編集委員会編『第十五改正 日本薬局方解説書』(2006・広川書店)』

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