リクルゴス(読み)りくるごす(英語表記)Lykourgos

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リクルゴス」の意味・わかりやすい解説

リクルゴス(古代ギリシア、スパルタ)
りくるごす
Lykourgos

古代ギリシア、スパルタの国制や生活様式を定めたと伝えられる人物。生没年不詳。伝承は彼を紀元前900年ごろ、または前775年ごろの人とも伝え、さらにはその実在を否定する説もある。彼の改革の要として「大レトラ」とよばれる法が伝わっている。この法は、二王を含め30名からなる長老会の設置、最終決定権をもつ民会の定期開催、部族・地区制度の創設を定めている。これはおそらく前9世紀ごろのスパルタの実情を反映したものと解される。さらに彼は深刻な社会対立の原因であった貧富の問題の解決を図り、土地の再分配を実施したという。そして問題の再発防止のために、貴金属貨幣の使用禁止、市民の共同食事制度、市民の商工業従事禁止、鎖国主義などを定めた。「スパルタ教育」の名の高い子女の教育制度を設けたのも彼だといわれる。しかしこれらの諸制度は、第二次メッセニア戦争後、社会危機を克服し、ホモイオイ(平等者)の体制を確立していく過程でしだいに形成されたものと解される。

[古山正人]


リクルゴス(古代ギリシア、アテネ)
りくるごす
Lykourgos
(前390ころ―前325/324)

古代ギリシア、アテネ政治家弁論家。紀元前338年から前326年まで財務関係の役を歴任し、財政管理に活躍。その間にディオニソス劇場再建、三大悲劇詩人(アイスキロス、ソフォクレスエウリピデス)の像の建立等の事業を行った。政治的にはマケドニアに抗してアテネの独立を保とうと努めた。著作のうち『レオクラテスLeokrates弾劾』一編のみが現存する。その文体にはイソクラテスの影響が認められるが、やや緻密(ちみつ)さを欠く。

中村 純]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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