ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リコーバー」の意味・わかりやすい解説
リコーバー
Rickover, Hyman George
[没]1986.7.8. バージニア,アーリントン
アメリカの海軍軍人。「原子力潜水艦の父」と呼ばれる。ユダヤ系ロシア人として帝政時代のロシアに生れ,アメリカへ移住。 1922年海軍兵学校卒業。艦隊勤務のあと,潜水艦学校を卒業して3年間潜水艦に乗込んだ。コロンビア大学で電気工学を学び,第2次世界大戦中は海軍の電気部門を担当。 46年国立原子力研究所に派遣され,原子動力の研究開発に従事。原子力が潜水艦の推進動力として最適のものであることを確信し,当時の海軍作戦部長 C.ニミッツ元帥の支持を得て,海軍省艦船局の原子力機関課長と原子力委員会の海軍用原子炉課長を兼務。 55年には原子力潜水艦の実用化の見通しをつけた。多くの困難を克服して,予定どおり,55年1月,世界最初の原子力潜水艦『ノーチラス』の航行に成功した。実用動力炉としても世界最初のものであり,このように短期間に画期的な技術的成功を収めることができたのは,彼の技術的才能と卓越したマネージメント能力に負うところが大きい。アメリカ議会の信任が厚く,銀メダルを贈られ,高齢にもかかわらず特に中将として現役にとどまっていたが,81年 12月に退役。第 39代大統領 J.カーターの海軍時代の恩師としても知られている。
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