リネン(読み)りねん(英語表記)linen

翻訳|linen

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リネン」の意味・わかりやすい解説

リネン(Feodor Lynen)
りねん
Feodor Lynen
(1911―1979)

ドイツの生化学者。ミュンヘン大学でH・ウィーラント師事、1953年同大学教授。1954年からマックス・プランク細胞化学研究所所長。活性酢酸酢酸補酵素A(coenzyme A)とのチオエステルCH3-COSCoAであることを発見し、アセチル補酵素Aが関与する多くの代謝経路と酵素を明らかにした。すなわち、リネンサイクルとよばれる脂肪酸のβ(ベータ)酸化機構解明し、脂肪酸の長い鎖の合成を触媒する多酵素複合体を酵母より分離した。また脂質代謝ビオチンが果たす役割を明らかにし、コレステロールや脂質の生合成研究も行った。K・ブロッホとは独立に研究したが、彼らの仕事は互いに補い合いコレステロールと脂肪酸研究に貢献した。1964年、ブロッホとともにノーベル医学生理学賞を受賞した。

[石館三枝子]


リネン(亜麻)
りねん
linen

アマ亜麻)繊維を原料とする製品総称。シャツ地、ハンカチーフ、テーブルクロスなど。アマ織物は人類史上もっとも古く、古代エジプトではミイラを巻いた布であり、聖書のなかにも記されている繊維であって、18世紀ころには、全繊維のうちで世界第1位の生産高を示していた。原産地は中近東と考えられているが、現在は旧ソ連地域、ポーランド、ベルギーが主産地である。繊維の強さが大きいこと、水分の吸収発散が早いこと、熱伝導度が高いことなどから、涼感があり、夏用服地に使われる。日本では明治以後、北海道でアマの栽培が始められ、1887年(明治20)札幌に北海道製麻株式会社を設立されて以来普及をみた。リネンは敷布、画布、服地、芯地(しんじ)などに用いられる。

[並木 覚]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リネン」の意味・わかりやすい解説

リネン
Lynen, Feodor(Felix Konrad)

[生]1911.4.6. ミュンヘン
[没]1979.8.8. ミュンヘン
ドイツの生化学者。 1937年ミュンヘン大学卒業。 41年同大学講師,53年生化学教授,54年からミュンヘンのマックス・プランク細胞化学研究所所長,72年からマックス・プランク生化学研究所所長を兼ねる。コレステロールと脂肪酸がそれから形成される活性化アセタートを初めて分離し,いわゆる脂肪酸サイクルのなかで脂肪酸分解の機構を解明,またコレステロール,スクアレン,テルペンおよび天然ゴムなどを含むポリイソプレン化合物の生合成の過程を明らかにした。 K.ブロッホとともに 64年ノーベル生理学・医学賞受賞。

リネン
linen

亜麻繊維を原料とした製品の総称。亜麻糸,亜麻織物など。

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