リヨン歴史地区(読み)リヨンれきしちく

世界遺産詳解 「リヨン歴史地区」の解説

リヨンれきしちく【リヨン歴史地区】

1998年に登録されたフランスの世界遺産文化遺産)。リヨンは、パリの南東約400km、同国中東部ローヌ・アルプ地方ローヌ県の県都で、ソーヌ川ローヌ川の合流点に位置する絹織物の町。起源は紀元前1世紀半ばのローマ時代で、交通の要衝にあり、ガリア3州の首都としても栄えた。15世紀後半になると絹織物の技術が導入され、19世紀前半にはヨーロッパ最大の絹織物産業都市となった。15世紀後半には活版印刷の技術も伝播して出版業も盛んになり、フランス・ルネサンス文化の発展に大きな役割を果たした。町はソーヌ川西岸の、「古きリヨン」と呼ばれる旧市街と2つの川に挟まれた半島(プレスキル)、ローヌ川の東の新市街の3つの区域に分かれる。世界遺産に登録されたのは、旧市街と半島に散在する建造物群である。旧市街フルヴィエールの丘の上には1872年に着工されたフルヴィエール聖堂、丘の西側の中腹には紀元前15年に建てられた1万人収容のローマ劇場、麓にはゴシック様式のサン・ジャン大聖堂があり、大聖堂の周辺には15世紀末から16世紀のルネサンス様式邸宅が続く。半島には17世紀に建てられ、18世紀に再建された市庁舎、14世紀に着工して19世紀に完成したサン・ニジエ聖堂、18世紀の邸宅を改造した織物歴史博物館などが残ることから、2000年の歴史を刻んだ商業と文化の要衝として、その文化的価値が評価され、世界遺産に登録された。◇英名はHistoric Site of Lyons

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

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