日本大百科全書(ニッポニカ) 「リンブルフ」の意味・わかりやすい解説
リンブルフ(ベルギー)
りんぶるふ
Limburg
ベルギー北東部、オランダに接する州。面積2422平方キロメートル、人口79万8583(2002)。州都はハッセルト。オランダ語地域。1839年、オランダのリンブルフ州を2分割して成立した。ケンペン(カンピーヌ)台地と周辺の平野からなり、砂礫(されき)質の荒れ地を利用する放牧や、小麦、テンサイ(サトウダイコン)、果樹栽培が中心であった。非居住地が広く用地が安価であったので、19世紀末ころより輸入した銅鉱や鉛・亜鉛鉱の精錬、化学工業などが立地した。1917年から開発されたケンペン炭田(1990年代にほとんど閉山した)やアルベール運河の開通、アントウェルペン(アントワープ)―ケルン間の高速道路の完成、さらに60年代のフォード自動車やフィリップス電気機械などの工場も加わり、急成長した。
[川上多美子]
リンブルフ(オランダ)
りんぶるふ
Limburg
オランダ南東部にある州。総面積2029平方キロメートル、陸地面積2169平方キロメートル、人口114万2679(2001)。州都マーストリヒト。南部は肥沃(ひよく)なレスの丘陵が卓越し、小麦、果樹の栽培と酪農が行われる。南東部のヘールレンを中心にオランダ唯一の炭田があり、ガラス、陶器、化学、自動車などの工業も立地する。11世紀に創設された伯爵領が起源で、1648年のウェストファリア条約でオランダ領とスペイン領とに分割されたが、1815年にはオランダ王国の下で統一されてその一州となった。しかしベルギー独立後の1839年にはふたたびオランダとベルギーとに分割され、ベルギーにも同名の州が誕生した。
[長谷川孝治]