リン青銅(読み)リンせいどう(英語表記)phosphor bronze

翻訳|phosphor bronze

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リン青銅」の意味・わかりやすい解説

リン青銅
リンせいどう
phosphor bronze

青銅の溶製に脱酸剤として使うリン剤の使用量を普通より多くして,青銅中にリンが 0.03~0.35%残るように製造したものをいう。普通青銅よりも弾性,耐食性がよく,ばね材,機械可動部品に用いられる。加工用リン青銅組成スズ 3.0~9.0%,リン 0.03~0.35%の範囲にあり,ばね材にはスズ7~9%のものが使われる。鋳物用はスズ,リンともに高くスズ 10~16%,リン 0.1~0.6%とする。湯流れはよいが偏析を生じやすいので,鋳造金型を用い急冷する必要がある。スズ4~6%,リン 0.01~0.5%に鉛1~4%加えたものは切削性がよくなるので快削リン青銅といい,軸受,歯車ねじボルトナット,摺動部品などに用いられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リン青銅」の意味・わかりやすい解説

リン青銅
りんせいどう
phosphor bronze

銅‐スズ合金にリンを加えた固溶体合金。1854年フランスのルールM. Roulzにより発明された。低スズの青銅をリン銅で脱酸しただけでリンが合金中に残っていないもの、10%以上のスズに1.5%までのリンを加えたもの、両者中間のものの3種がある。ばね用のリン青銅は7~9%スズ、0.03~0.05%リンで、冷間加工および低温焼きなましを施して使う。

[三島良續]

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