レントラー(読み)れんとらー(英語表記)Ländler ドイツ語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レントラー」の意味・わかりやすい解説

レントラー
れんとらー
Ländler ドイツ語

舞曲名称オーストリアおよび南ドイツで、18世紀末から19世紀にかけて愛好された。このことばは「田舎(いなか)踊り」といった意味だが、事実、もともとは民衆によって踊られた土着のものであった。3/4拍子の比較的ゆったりとしたテンポで、19世紀にウィーン宮廷およびその周辺で爆発的に流行したワルツ先駆としても重要な存在である。大作曲家の例としては、やはりウィーンを中心に活動した人の作品が多く、モーツァルト(K606)、ベートーベン(六つのレントラー。1802)などのほかシューベルトも数多く書いている。

[大崎滋生]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レントラー」の意味・わかりやすい解説

レントラー
Ländler

ドイツのバイエルンやオーストリアのアルプス地方の舞踊および舞曲。名称はリンツ近郊の地名 Ländlに由来するとも,田舎風の踊りを意味する Ländlicher Tanzに由来するともいわれる。4分の3または8分の3拍子でゆるやかな旋回を伴い,ゆっくりしたワルツに近い。各部が8小節の2部分から成り,部分ごとに何回か繰返される。ドナウ川遊覧船の音楽家たちが演奏して,ウィーンで流行した。モーツァルトの『6つのレントラー』や,ベートーベンの『11のメードリング舞曲』などにみられる。 19世紀なかば頃からワルツが盛んになるにつれて衰退した。

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