1980年に登録、2010年に登録内容が変更されたノルウェーの世界遺産(文化遺産)で、首都オスロの北約310kmにある旧鉱山都市。1644年に銅鉱脈が発見されると、国策として鉱山開発が行われた。1977年の閉山までの333年間、銅鉱石と黄鉄鉱を産出し続けた、ノルウェーで最も重要な鉱山の一つであった。北極圏に近い極寒の地で、労働者は厳しい自然と低賃金の労働に辛苦しながら町を築いていった。こうした環境の下、黒ずんだ質素な木造住宅、自給自足のために開墾した農場、交差するハンマーが描かれた鐘楼を持つ白い聖堂など、鉱山の町独特の景観が生まれた。聖堂は修理の必要性から石造りで再建されたが、鉱山の建物すべてが木造で、労働者用住宅や聖堂、鉱山の立坑(たてこう)や農場が往時の姿のまま残っている。厳しい自然環境に拓かれた鉱山都市の歴史的価値が評価され、世界遺産に登録された。2010年に対象地域が拡大された。◇英名はRøros Mining Town and the Circumference