ロプノール(読み)ろぷのーる(その他表記)Lob-nor

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロプノール」の意味・わかりやすい解説

ロプノール
ろぷのーる / 羅布淖爾
Lob-nor

中国、新疆(しんきょう)ウイグル自治区南疆の東辺にあった大湖。タリム川バグラシュ湖から流出するクムダリヤの水を受ける内陸湖。紀元5世紀ころまでは、その湖畔楼蘭(ろうらん)王国が栄えていた。ロプノールは先史時代にはきわめて巨大な湖であったが、しだいに縮小したと推定されている。1877年ここを探検したロシアのプルジェバリスキーは、南方のカラ・ブランとカラ・コシュンの双湖をロプノールと主張したが、これに反対するドイツのリヒトホーフェンと、いわゆる「ロプノール論争」を引き起こした。1934年カヌーでクム川を下ったヘディンは新しいロプノールを発見し、「さまよえる湖」説を発表した。しかし近年、この地方を盛んに探検しつつある中国の地理学者たちは、ロプノールは太古以来、前記の地にあり、その水源はタリム川より、バグラシュ湖から流出するクム川が主であること、またこの湖の水が近年まったくなくなったのは、クム川の上流でダム工事や灌漑(かんがい)用水を多用するため、クム川の流水量が著しく減少した結果であると考えている。

[長澤和俊]

『ヘディン著、関楠生訳『さまよえる湖』(1979・白水社)』『中国科学院『中国自然地理――歴史自然地理』(1982・北京)』

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旺文社世界史事典 三訂版 「ロプノール」の解説

ロプ−ノール(湖)
ロプ−ノール(こ)
Luóbù Pō

中国の新疆 (しんきよう) (シンチヤン) ウイグル自治区の東部にある内陸湖
天山南路を通る東西交通の要衝にあり,塩沢 (えんたく) ・蒲昌海 (ほしようかい) などと呼ばれて古くから知られた。西からタリム川が注いでいるが,北方一帯は砂漠で,定期的に湖自体が移動するといわれる。付近には,漢代の都市楼蘭 (ろうらん) の遺跡が発見されている。現在,中国の原水爆実験基地が付近に設けられている。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ロプノール」の解説

ロプ・ノール

楼蘭(ろうらん)

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