日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロングフェロー」の意味・わかりやすい解説
ロングフェロー
ろんぐふぇろー
Henry Wadsworth Longfellow
(1807―1882)
アメリカの詩人。2月27日メーン州ポートランドに生まれる。ボードン大学を卒業。ヨーロッパ留学ののち母校で6年間近代語教授を務め、ふたたび留学中、同行の妻が病死。1836年からハーバード大学教授となり、18年間その職にあった。海外旅行記、自伝的散文物語を出版後、多くの詩を発表。処女詩集『夜の声』(1839)収録の「人生讃歌(さんか)」は、おおらかに人生を肯定し、広範な読者に迎えられた。代表作には、著名な「村の鍛冶(かじ)屋」を含む『民謡その他の詩集』(1842)、悲恋哀詩『エバンジェリン』(1847)、フィンランドの叙事詩『カレバラ』に倣ったインディアン英雄詩『ハイアワサの歌』(1855)、ピューリタンの恋物語詩『マイルズ・スタンディッシュの求婚』(1858)などがある。61年、二度目の妻を火傷で失い、一時創作の筆が鈍ったが、『神曲』の英訳(1865~67)を完成。82年3月24日ケンブリッジで没。概して韻律は平易で、教訓的、感傷的内容の詩が多い。19世紀末ごろまではもっとも人気あるアメリカの代表詩人で、日本でも明治・大正時代を通じてよく読まれた。
[池田孝一]
『松山敏訳『ロングフェロウ詩集』(1953・人生社)』▽『大和資雄訳『夜の声』(『世界名詩集大成第11巻 アメリカ篇』所収・1962・平凡社)』▽『E・L・ハーシュ著、後藤昭次訳『ヘンリー・ワズワース・ロングフェロウ』(『アメリカ文学作家シリーズ 第七巻』所収・1968・北星堂書店)』