エバンジェリン(読み)えばんじぇりん(英語表記)Evangeline. A Tale of Acadie

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エバンジェリン」の意味・わかりやすい解説

エバンジェリン
えばんじぇりん
Evangeline. A Tale of Acadie

アメリカ詩人ロングフェローの長編物語詩。1847年作。1755年アカディー(現ノバ・スコシア)のフランス系植民者たちがイギリス軍に強制移住させられたときの実話をもとに、ゲーテの『ヘルマンとドロテーア』、スウェーデンの詩人テグネルの恋愛物語などにならって書かれた悲恋哀詩。牧歌的なグラン・プレ村の若い男女ガブリエルとエバンジェリンは、結婚式当日イギリス軍に追われ、生き別れの身となる。夫を探し求める主人公エバンジェリンはアメリカ各地を彷徨(ほうこう)、長い年月ののち、悪疫蔓延(まんえん)するフィラデルフィア施療院で看護中、臨終まぎわの夫とようやく再会する。その叙情性と平易な詩語のために、広い読者層の好評を得た。

[池田孝一]

『斎藤悦子訳『エバンジェリン』(岩波文庫)』『剣持武彦著『ロングフェロー』(『欧米作家と日本近代文学 第一巻』所収・1974・教育出版センター)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エバンジェリン」の意味・わかりやすい解説

エバンジェリン
Evangeline

アメリカの詩人 H.W.ロングフェロー長詩。 1847年刊。相思相愛婚約者である村の若い男女が,北アメリカにおける英仏抗争により離ればなれになり,何年もお互いに捜し求めた末,ようやく再会したときには,かつての青年は年老いて死の床にあり,その死の衝撃女主人公落命,ともに葬られるという悲恋を物語る。

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