ロンズデール石(読み)ろんずでーるせき(その他表記)lonsdaleite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロンズデール石」の意味・わかりやすい解説

ロンズデール石
ろんずでーるせき
lonsdaleite

ダイヤモンドの、通常の等軸晶系の原子配列とわずかに異なって六方晶系となったもの。特別に独立名を与えられている。なおc軸方向に2倍の周期をもった別の多型も知られており、区別するときはlonsdaleite-4Hとよばれる。自形立方体あるいは正八面体との聚形(しゅうけい)。等軸ダイヤモンドとの混合物の状態でのみ知られる。

 隕石(いんせき)中のものはアメリカ、アリゾナ州キャニオン・ディアブロCanyon Diablo隕石などから知られ、ロシア、ヤクーチアYakutia地方(サハ共和国)では砂鉱産のダイヤモンド中から知られている。同国ツングースカTunguskaの隕石衝突痕跡(こんせき)地の土壌からも報告されている。日本の産出は未報告。隕石中の共存鉱物としては、ダイヤモンド、石墨、テーナイトtaenite(化学式(Ni,Fe))、コーヘン鉱cohenite(Fe3C)、シュライベルス鉱schreibersite((Fe,Ni)3P)、クロム鉄鉱、コスモクロルkosmochlor(NaCr[Si2O6])、トロイリ鉱troilite(FeS)など。命名イギリスの結晶学者カスリーン・ロンズデールKathleen Y. Lonsdale(1903―1971)にちなむ。

加藤 昭]


ロンズデール石(データノート)
ろんずでーるせきでーたのーと

ロンズデール石
 英名    lonsdaleite
 化学式   C
 少量成分  未報告。Nの可能性はある
 結晶系   六方
 硬度    おそらく10
 比重    3.51
 色     灰
 光沢    金剛
 条痕    未記載
 劈開    未記載
       (「劈開」の項目参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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