大学事典 「ローズ奨学金」の解説
ローズ奨学金
ローズしょうがくきん
オックスフォード大学(イギリス)で学ぶ留学生のための奨学金。イギリスの植民地政治家で典型的な帝国主義者として知られるセシル・ローズ,C.J.の遺贈により,1902年に創設された。大英帝国の統一を維持し,英語諸国民の団結・融和をはかることによって世界の平和を確保するため,植民地とアメリカ合衆国およびドイツの若者(男子)をオックスフォード大学に留学させて教育する,というのがその目的であった。当初,奨学金には「植民地奨学金」と「アメリカ奨学金」の2種類があった。前者については植民地ごとに奨学生の数が割り当てられ(毎年計20人),後者は合衆国各州2人とされた。これらのほかにドイツ人留学生を対象とする奨学金もあった(毎年5人)。奨学金を受ける学生の資格・条件として,ローズは学業成績以外にスポーツの愛好や公共への奉仕の精神を重視した。奨学金用としてローズが大学に寄付した総額600万ポンドに及ぶ基金は,遺産管財人によって管理・運用される。今日では女性やインド出身者も受給対象となっている。歴代のローズ奨学生の中にはフルブライト,J.W.元アメリカ議会上院議員,ビル・クリントン元アメリカ大統領などがいる。
著者: 安原義仁
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報