デジタル大辞泉
「アジアインフラ投資銀行」の意味・読み・例文・類語
アジア‐インフラとうしぎんこう〔‐トウシギンカウ〕【アジアインフラ投資銀行】
中国が主導するアジア向けの国際開発金融機関。アジア諸国のインフラ整備支援を目的とする。ロシア・ドイツ・インドなど57か国を創設メンバーとして2015年12月に発足。米国・日本は参加を見送っている。AIIB(Asian Infrastructure Investment Bank)。
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アジアインフラ投資銀行(AIIB)
中国が設立を主導している国際金融機関。アジアの新興国に、社会基盤(インフラ)整備の資金を融資する。既に東南アジア諸国連合(ASEAN)の全10カ国やインド、中東諸国、中央アジア諸国などの計27カ国が、創設メンバーとして決定している。資本金は当初計約500億ドル(約6兆600億円)で、各国が出資して年内に設立し、本部は北京に置く。中国が最大の出資国となる。(北京共同)
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アジアインフラ投資銀行(AIIB)
アジアの発展途上国や新興国のインフラ整備を支援することを目的に、中国が呼び掛けて設立した国際金融機関。中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」を支える役割も担う。東南アジア諸国連合(ASEAN)の各国や英国など57カ国が参加して2015年12月に発足した。先進7カ国(G7)も日米を除く各国が加盟している。(北京共同)
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アジアインフラ投資銀行
あじあいんふらとうしぎんこう
Asian Infrastructure Investment Bank
中国主導で設立したアジアのインフラ整備を支援する国際金融機関。港、道路、鉄道、空港、発電・エネルギー設備など旺盛(おうせい)なアジアのインフラ需要のために資金供給する役割を担う。英語の頭文字をとってAIIBと略称する。2013年に中国国家主席の習近平(しゅうきんぺい)が提唱し、2015年12月に発足した(2016年1月開業)。創設メンバーは中国、インド、イギリス、フランス、ドイツなど57か国で、加盟国は2019年4月時点で97か国・地域。主要7か国(G7)のうち、日本とアメリカのみが加盟していない。本部は北京(ペキン)。資本金は1000億ドル。出資比率は加盟国の経済力に基づくが、中国が約3割の最大出資国。初代総裁は中国財務次官を務めた金立群(きんりつぐん)(1949― )。職員は約100人。アジアインフラ投資銀行を創設することで、中国は約3兆ドルある外貨準備を活用し、アジアの親中派を増やし、非欧米・脱ドルの中国経済圏形成を目ざしているとみられる。ただ融資実績は専門人材や投融資ノウハウの不足もあって、2017年末時点で24件42億ドルにとどまる。
アジアのインフラ整備を支援する国際金融機関には、1966年設立のアジア開発銀行(ADB)があるが、最大出資国は日本とアメリカで、歴代総裁はすべて日本人が務めてきた。アジアインフラ投資銀行の設立は、中国人民銀行主導のシルクロード基金やBRICS(ブリックス)が設立した新開発銀行(BRICS銀行)と並び、第二次世界大戦後の世界経済を支えた欧米主導のIMF(国際通貨基金)・世界銀行(国際復興開発銀行)体制に対抗・代替するねらいもある。現在のIMF・世界銀行体制では、勃興(ぼっこう)するアジアの資金需要をまかないきれないとの不満が途上国から出ており、途上国はアジアインフラ投資銀行の設立を歓迎し、IMF・世界銀行も表だっては反対していない。日本やアメリカは、(1)中国の国益に役だつプロジェクトばかりに融資しかねない、(2)融資基準や審査体制があいまいで、野放図(のほうず)な融資を招き、途上国の環境破壊につながる、などの点を懸念している。
[矢野 武 2019年6月18日]
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知恵蔵
「アジアインフラ投資銀行」の解説
アジアインフラ投資銀行
アジア諸国のインフラ整備を支援する資金の融資を行う国際開発金融機関。中国が設立を呼び掛けたもので、本部は北京、初代総裁には元中国財政次官の金立群が就任の見込み。2015年6月に創設メンバー50カ国が設立協定に署名した。参加国は中国を始めアジア各国のほか、英・独・仏など欧州を含む57カ国(このうち、フィリピンなど7カ国は署名見送り)で、15年内には正式に設立、業務開始を予定している。
国際開発金融機関としては、世界銀行(WB)のほかアジア・太平洋地域を対象とするアジア開発銀行(ADB)がすでにある。しかし、急速に発展するアジアのインフラ整備のための資金需要を賄うのに十分ではないとして新たにAIIBの設立を目指す。その背景として、ADBなど既存の機関では日米が主導的な役割を果たしており、中国が国際金融で発言権を十分に発揮できないことに不満を募らせていたとの評がある。設立の動きの中心を担う中国は、経済発展を背景に国際金融体制においても影響力を強めることが狙いではないかといわれている。
日本政府は融資基準の明確化や参加国の発言権などを巡って慎重にならざるを得ないとして、参加を見送った。また米国も国際基準を満たさない懸念があるとして参加していないが、融資基準の厳格化や既存の国際開発金融機関との協調関係が満たされれば設立を歓迎するとした。ただし、融資決定などに際して既存の機関が慎重なあまり迅速に対応できていないことなどから、中国は「西側のルールだけが最善とは限らない」とする。融資を受ける側のアジア諸国からは、既存の機関よりも柔軟な融資の実現が期待されている。
AIIBの資本金は参加各国の経済規模などに応じて出資比率を決め、当初は500億ドル、最終的には1000億ドルを見込む。ADBは商業性の強い融資案件をAIIBに紹介するとしており、協調関係の構築を目指す。ADBが教育・衛生など援助性の高い案件を担い、商業性が高い鉄道などインフラ整備への資金提供をAIIBが行うといった、アジア各国の経済建設資金の活性化と拡大の進展が望まれる。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
アジアインフラ投資銀行
アジアインフラとうしぎんこう
Asian Infrastructure Investment Bank; AIIB
アジア諸国などに鉄道などインフラストラクチャー建設資金を融資することを目的に設立された国際金融機関。中国の習近平国家主席が 2013年に設立を提唱し,2015年12月に発足した。資本金は 1000億ドル。最大出資国で約 26%の議決権をもつ中国が重要案件で拒否権を握る。本部は北京に置き,初代総裁には中国の財政次官だった金立群が就任した。2014年10月に設立を決めた際の参加国は 21ヵ国で,東南アジアが中心だったが,中国と経済的なつながりを強めることに重点をおくイギリス,ドイツ,フランスなどのヨーロッパ諸国が参加を決めたほか,ブラジルやロシア,南アフリカ共和国,大韓民国(韓国),オーストラリアなどを含め,創設には 57ヵ国が加わった。中国は国際金融で存在感を強めることをねらっており,アメリカ合衆国や日本は参加を見送った。中国が AIIBの設立に動いたのは,先進国主導の国際通貨基金 IMFや国際復興開発銀行(世界銀行),アジア開発銀行 ADBへの不満が背景にある。アメリカと日本は,東シナ海や南シナ海で軍事的な影響力の拡大をはかる中国に対し警戒感を崩しておらず,AIIBの運営方法にも懸念を示し,世界銀行や ADBのように,環境への配慮など高い融資基準の採用,意思決定の透明化などが必要との姿勢で,理事会が融資案件の審査に責任をもてるかが問題とみていた。ただ,アジアの旺盛なインフラストラクチャー投資需要に既存の国際機関が対応できていないのも事実であり,AIIBと世界銀行は業務で協調する方向で合意した。
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「アジアインフラ投資銀行」の解説
アジアインフラ投資銀行
アジア向けの国際開発金融機関。略称AIIB。これまで、日本が最大出資国となっている「アジア開発銀行(ADB)」がアジア向け開発金融の任を担ってきているが、2013年10月、中国の習近平国家主席がAIIB構想を表明、中国主導で設立準備が進んでいる。15年3月31日がAIIBの創始メンバーになるための期限とされ、日本や米国が未参加の中、アジア諸国を始めイギリス、フランス、ドイツなど48カ国・地域がAIIBへの参加を表明した。
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