1944年7月に調印され、翌1945年12月に発効したブレトン・ウッズ協定によって国際通貨基金(IMF)とともに設立された国際的長期融資機関。略称IBRD、通称世界銀行World Bank。1946年6月に業務開始。国際連合の専門機関の一つ。本部はワシントンに置かれ、総務会、理事会、事務局よりなる。加盟国数は2009年8月時点で186か国、日本は1952年(昭和27)に加盟した。
世界銀行の目的は、第二次世界大戦後の世界経済の復興と開発途上国の経済成長を促進するため、長期貸付と保証による民間国際投資の助成を行うことにあった。このうち民間投資の促進を第一とし、自己資金による貸付はそれを補完するものとした。そのため設立当初の授権資本は100億ドルにすぎなかったが、その後の増資を経て、2009年6月末時点で1899億ドルとなっている。そのほか、世銀債の発行、貸付および投資活動から生じる利益なども資金源となっており、さらに加盟国の資本市場で中・長期の借入れによる資金調達も行っている。
世界銀行は、第二次世界大戦直後はもっぱらヨーロッパの復興のために融資したが、1948年にアメリカがマーシャル・プラン(ヨーロッパ復興計画)を発動してからは、主として開発途上国への融資となった。融資対象は電力、道路、港湾などの社会資本に向けられ、経済基盤の強化をねらった。しかし、世界銀行の融資条件は厳しく、開発プロジェクトなどについてはその遂行能力や返済能力を十分に審査し、また借り手が政府以外の場合にはその国の政府の保証を要求するなど、健全な銀行主義の原則をとっている。金利も比較的高い。
こうした欠点を補うため、1956年に国際金融公社(IFC)、1960年に国際開発協会(IDA、通称第二世銀)、1988年に多数国間投資保証機関(MIGA(ミガ))が創設され、世界銀行とともにいわゆる世銀グループを形成し、開発途上国への多角的国際融資機関となっている。IFCは開発途上国の民間企業への投資促進がねらいであり、またIDAは社会資本を対象とする低利かつ長期の融資を目的とする。ともに融資条件は世界銀行よりも緩やかである。MIGAは、経済成長、貧困削減、人々の生活向上を支援するための新興経済国向け外国直接投資を推進する目的で設立され、投資家や融資機関に対して非商業リスク(収用、契約不履行、通貨の兌換(だかん)停止、戦争、内乱など)を対象にした保険(保証)を提供するとともに、投資紛争を調停することでその使命を果たしている。
なお、日本は、1960年代までは鉄鋼・電力の設備資金、道路・鉄道の建設資金などのため巨額の借入れを行っていたが、その後はもっぱら資本供与国となっている。
[土屋六郎]
ところで、1990年なかば以降、金融のグローバル化の急激な進展により、一地域の信用危機がたちまち全世界に伝播(でんぱ)し、その後の金融収縮から世界的な不況を招くような事態(アジア通貨危機、リーマン・ショックなど)が頻繁に発生している。このような事態は、世界的な不況を通じて、世界の金融システムとはほとんど関係のない最貧国にもっとも大きな悪影響を引き起こすことになる。そのため、信用危機に起因する実体経済の悪化の世界的な伝播に対しては、世界の総需要を下支えする必要があることから、世界銀行を含む国際開発金融機関は世界的に収縮が進む資本の流れに対処することが期待されている。
[前田拓生]
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世界銀行とも。ブレトン・ウッズ協定にもとづいて国際通貨基金(IMF)とともに1945年設立された国際機構。略称IBRD。第2次大戦の戦災国の復興,低開発国に対する開発援助を目的とする。46年業務開始,47年国連の専門機関となる。本部はワシントン。加盟国の政府・企業に対する資金貸付,そのための調査と技術援助を業務とする。授権資本は100億ドル。加盟は国際通貨基金加盟国に限定。5大株主国に理事任命権があり,25人の理事会が総裁を選任(慣行としてアメリカ人が就任)。日本は52年(昭和27)に応募資本2億5000万ドルで加盟し,66年までに総額86億ドルの借款をうけ,90年(平成2)に完済。
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世界銀行ともいう。ブレトン・ウッズ協定により1946年に設置された国際機関で,国際通貨基金の姉妹機関。国際連合の専門機関の一つでもある。第二次世界大戦の被害からの復興と,開発途上国の開発のため長期資金の供給を目的としたもの。現在では国際開発協会(IDA)や国際金融公社(IFC)などとともに世界銀行グループを構成し,世界最大の開発援助機関になっている。加盟国は2006年までに184カ国で,日本は1952年に加盟。
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…国際復興開発銀行International Bank for Reconstruction and Development(IBRD)の通称。世銀と略す。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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