アテナ・ニケ神殿(読み)あてなにけしんでん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アテナ・ニケ神殿」の意味・わかりやすい解説

アテナ・ニケ神殿
あてなにけしんでん

勝利の女神ニケに捧(ささ)げた古代ギリシア神殿アテネアクロポリスの南西端に建つ小神殿。建築家カリクラテスの設計で紀元前427年ごろ起工し、前424年ごろ完成。プランは正面5.4メートル、側面8.3メートル、前面背面に4本ずつ柱を配した四柱式イオニア式神殿である。勝利の女神ニケは一般に有翼であるが、これはニケ・アプテロスNike Apteros(翼のないニケ)ともよばれていた。これは、勝利の女神がアテネから飛び去らないように、市民が女神の翼を切り取ったからと伝えられる。神殿を取り囲む堡塁(ほるい)の欄干は「サンダルの紐(ひも)を解くニケ」など女神を表す美しい浮彫りで飾られていた。

[前田正明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アテナ・ニケ神殿」の意味・わかりやすい解説

アテナ・ニケ神殿
アテナ・ニケしんでん
Athena Nike

ギリシア,アテネのアクロポリスに建つプロステュロス (全面前柱式) の小神殿。カリクラテスの作と伝えられ,イオニア式の柱頭をもつ。紀元前5世紀後半の建造と考えられる。長らく解体されたままになっていたが,1935年から 40年にかけて再建された。

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